【ニュース・アメリカ】博士課程在籍中の学術誌への論文提出数・筆頭執筆者となる件数・発表数、専攻分野に関わらず男子学生が女子学生を上回る

 
インディアナ大学(Indiana University)数学教育教授のサラ・ルビエンスキ(Sarah Theule Lubienski)氏らは、博士課程在籍学生による論文発表に見られる男女間での格差に関する研究結果をまとめた論文「博士課程学生の論文発表率に見られる性別格差(Sex Differences in Doctoral Student Publication Rates)」を発表した。
 
ルビエンスキ氏らは、研究論文の学術誌などへの提出数、筆頭執筆者となる件数、及び発表数に関し、男子学生と女子学生との間で格差がある背景を検証した。その結果、学術論文の提出数及び発表数は、男子学生が女子学生を大きく上回り、この傾向は、男子学生が大半を占める工学・物理科学分野と、性別間で人数のバランスの取れた自然・生物科学分野の両方で見られ、場合によっては、女子学生が大半を占める人文科学・創造的芸術、社会科学・応用衛生学などの分野においても見られることが判明した。
 
この理由の手掛かりとなるのは、男子学生による指導教官・就職準備・研究に対する教員による支援との関係に対する評価が女子学生による評価を上回ることで、これは、博士課程に在籍する男子学生が、指導教官による研究へのメンタリングを女子学生よりも多く受けているとした過去の研究結果と一致する。
 
但し、まだ説明のつかない部分が多く、ルビエンスキ氏は、各大学が、博士課程に在籍する女子学生の研究へのメンタリング及び生産性を含む傾向を検証すべきである他、個々の教員も、自身が所属する研究室における風潮を観察し、女子学生に対して新たな研究発表を奨励すべきと提言している。
 
主な結果は以下の通り。

  • ある大学の同一キャンパスで開講される博士課程プログラム約90件を「工学・物理科学」「自然・生物科学」「人文科学・創造的芸術」「社会科学・応用衛生学」「教育・専門プログラム」の5つに分類して調査結果を分析した結果、学術誌などへの論文提出数は、男子学生では平均5.9本(筆頭執筆者・単独執筆者3.7本)であるのに対し、女子学生では平均3.7本(筆頭執筆者・単独執筆者2.2本)。
  • 学術誌などで発表された論文数は、男子学生が平均4.9本であるのに対し、女子学生は2.9本。特に性別による格差が顕著な分野は「工学・物理科学」及び「自然・生物科学」。
  • 在籍する博士課程プログラムに対する満足度は、男子学生が女子学生を僅かに上回る。
  • 博士課程在籍中に研究助手を経験した学生は、男子学生では85%であるのに対し、女子学生では80%。一方、授業指導助手を経験した学生は、男子学生では76%であるのに対し、女子学生では82%。

 
2017年11月8日
 
Inside Higher ED:Behind the Publication Gender Gap
 

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究
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