【ニュース・アメリカ】米国大学生、構内における表現の自由に関する意識はイデオロギーの違いによって異なる

 
教育における個人の権利財団(Foundation for Individual Rights in Education:FIRE)は2017年10月11日、大学における表現の自由に関する大学生の意識調査結果をまとめた報告書「言論の自由 ~米国大学における表現に関する大学生の意識~(Speaking Freely: What Students Think about Expression at American Colleges)」を発表した。
 
ジョン・テンプルトン財団(John Templeton Foundation)による助成を受給して行われた調査結果をまとめた本報告書は、自己表現、他の学生による表現に対する反応、ゲストスピーカー、及び、ヘイトスピーチに関する学生の意見を検証したものである。
 
その結果、大半の大学生は、授業内で自主検閲し、自分と意見の異なる一部のゲストスピーカーの招待取り消しを支持する他、ヘイトスピーチが合衆国憲法第1条による保護に相当するか否かは意見が分かれることが明らかにされた。また、共和党支持学生と民主党支持学生との間では、大学構内での抗議活動、講演者に対する招待取消、及び、ヘイトスピーチ保護に関する意見が異なることが判明した。
 
主な結果は以下の通り。

  • 学生の46%は、ヘイトスピーチが憲法第1条によって保護されていることを認識していると回答したのに対し、48%は憲法によって保護すべきでないと回答。
  • 一部のゲストスピーカーの招待取消を支持する学生は全体の56%で、民主党支持学生による支持率が共和党支持学生による支持率を19ポイント上回る。
  • 大学生の58%は、不寛容もしくは攻撃的な考えに晒されることのない大学キャンパスコミュニティに所属することが重要と回答。
  • ゲストスピーカーによるイベント開催を阻止するための活動に参加すると回答した学生は全体の2%で、暴力の行使を厭わないと回答した学生は1%のみ。
  • 人種差別的内容を含むスピーチをヘイトスピーチと認識する学生は全体の45%で、ヘイトスピーチと暴力を関連付ける学生は13%。
  • 30%の学生は、自分の表現が他者にとって攻撃的となるか否かを自主検閲すると回答し、大学入学後に授業内で自己検閲したことがあると回答した学生は全体の54%。
  • 授業中に自分の意見を表現することに関して抵抗がないとの回答は、非常にリベラルな学生が、非常に保守的な学生を14ポイント上回る。また、共和党支持学生の60%は大学構内における抗議活動のそばを通り過ぎるべきではないと考える一方で、民主党支持学生では28%のみ。
  • 全体の93%の学生は、自分が所属する大学が様々なゲストスピーカーを招待することを望んでおり、64%は講演後に態度や意見が変わったと回答。

 
なお、本報告書は、「Student Attitudes Free Speech Survey – Full Text」から閲覧可能。
 
2017年10月11日
 
Foundation for Individual Rights in Education:NEW SURVEY: Majority of college students self-censor, support disinvitations, don’t know hate speech is protected by First Amendment
 

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
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