【ニュース・アメリカ】米国大学生、大学キャンパスにおける言論の自由と多様性・包括性は両方重要としながら、多様性をやや重視 非営利機関調査

 
非営利機関のナイト財団(Knight Foundation)と調査会社のギャラップ社(Gallup)は、大学キャンパスにおける米国憲法第1条(表現の自由)の捉えられ方の変化に関する大学生を対象とした調査報告書「大学キャンパスにおける表現の自由 ~米国憲法第1条問題を大学生はどのように考えるか~(Free expression on campus: What college students think about First Amendment issues)」を発表した。
 
本調査は、ナイト財団の他、米国教育審議会(American Council on Education:ACE)、チャールズ・コック財団(Charles Koch Foundation)、及び、スタントン財団(Stanton Foundation)が資金を提供して行われたもので、米国大学生3,014人が回答し、この中には歴史的黒人大学(Historically Black Colleges and University:HBCU)の学生216人からの回答が含まれている。
 
その結果、米国大学生は、米国憲法第1条を強く支持する一方で、多様な見解が尊重される場においては、その環境を促進する発言に制限することも容認していることが明らかにされた。
 
主要な結果は以下の8項目。

  • 表現の自由は重要であるものの、多様性も重要で、言論の自由を保護すべきと回答した学生は全体の56%であるのに対し、多様且つ包括的社会を支持する学生は全体の52%。どちらがより重要かという質問に対しては、53%が多様性と包括性、46%が言論の自由と回答し、女性・黒人・民主党支持学生が包括性をより尊重する傾向。
  • 70%の学生は、大学キャンパスでは、攻撃的発言を制限するのではなく、あらゆる種類の発言に対してオープンであるべきと回答しているが、2016年調査時の78%からは減少。共和党支持学生は、86%があらゆる意見に対してオープンであるべきと回答。
  • 言論の自由が守られていると回答した学生は全体の64%で、2016年調査時の73%から減少。また、出版の自由が守られていると回答した学生は60%で、2016年の81%から減少。
  • 全体の54%の学生は、他者に攻撃的と受け止められる可能性があることから、所属大学の雰囲気によっては思ったことが発言できないと回答。また、保守系学生が大学で自由に意見を表現できると回答した学生は69%であるのに対し、リベラル系学生及びその他のグループの学生が自由に意見を表現できると回答した学生は92%。
  • 90%の学生は、講演を阻止するために暴力を行使することは容認不可と回答した一方で、10%は場合によっては容認可と回答。また、講演者に野次を飛ばすことに関しては、62%が容認不可としたのに対し、37%は場合によっては容認可と回答。
  • 社会的・政治的問題の討論を主にソーシャルメディアで行うと回答した学生は全体の57%で、大学構内の公共の場と回答した学生は43%。ソーシャルメディアは表現の自由を抑制すると考える学生は増加しており、その理由は、異なる意見の持ち主をブロックする(60%)、攻撃されることを恐れる(59%)など。
  • 全体の80%は、ヘイトスピーチの増加はインターネットに責任があると回答。68%の学生は、フェイスブック(Facebook)やツイッター(Twitter)などのソーシャルメディアプラットフォームはヘイトスピーチを制限すべきと回答しており、民主党支持学生では79%であるのに対し、共和党支持学生では52%。また、黒人学生が白人学生よりもソーシャルメディアにおけるヘイトスピーチを制限すべきと回答する傾向。
  • ニュースメディアに対する信頼度は、民主党支持学生では、正確性及び公平性に関して64%が「高く信頼する」「信頼する」と回答し、2016年調査時の44%から増加。一方、共和党支持学生は、64%がメディアに対する不信感を表明。

 
なお、本報告書は、「Free expression on campus: What college students think about First Amendment issues」からダウンロード可能。

 

2018年3月11日
 
A Medium Corporation:Students Say Diversity Is More Important Than Free Speech

 

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
人材育成 学生の多様性
レポート 海外センター