【ニュース・アメリカ】米国大学における近年の留学生数の増加は、州政府助成金の縮小に対応するための一手段

ミシガン大学(University of Michigan)のジョン・バウンド氏(John Bound)らは、州政府から拠出される公立大学への助成金と留学生数との関係に関する研究報告書「米国への通行権 ~大学助成金と留学生~(A Passage to America: University Funding and International Students)」を発表した。これによると、1996年~2012年の間に州政府からの大学助成金が10%減少したのに対し、公立研究大学学士課程に在籍する留学生数は12%増、中でも特に研究に力を入れる公立大学では留学生数が同期間で17%増となっていることが明らかにされた。執筆者らは、公立大学が州政府からの助成金縮小分を補充するために、州外在住学生授業料を支払う留学生の合格者数を増加させていると分析している。具体的には、増加した留学生の約9割を占める中国人留学生の米国公立大学学士課程在籍者数は、2004~05学年度には約8,000人であったのに対し、2013~14学年度には11万人超に増加している。これは、中国における高校卒業者数の増加、中国国内の大学数の不足や、留学費を支払う経済的余裕のある家庭の増加などといった中国側の変化も一因ではあるものの、州政府からの大学助成金縮小と留学生数増加の間には相関関係があると主張している。また、この傾向は、米国内の州外在住者の入学の少ない大学において特に顕著であるとし、例えば、同じ州政府から助成金を受給するミシガン大学とミシガン州立大学(Michigan State University)を比較すると、在籍する留学生数の増加率は、新入生の約30%が州外在住者であるミシガン大学よりも、州外在住の新入生の割合が約10%に留まるミシガン州立大学の方が顕著に高いという。全般的に見ると、2007年~2012年の間での州政府からの助成金縮小分の補充は、約69%が州内在住学生の授業料引き上げによるもので、学士課程に在籍する留学生数の増加は全体の17.4%であるが、オハイオ州立大学(Ohio State University)、パデュー大学(Purdue University)、及び、ミネソタ大学(University of Minnesota)などのように、全体の40%以上が留学生数の増加によるものである大学もあった。

 

なお、本報告書は、以下よりダウンロード可能。
University of Michigan:A Passage to America: University Funding and International Students[PDF:1.09MB]
 

Inside Higher ED:State Shortfalls and Foreign Students

地域 北米
アメリカ
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統計、データ 統計・データ
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