カレッジボード(College Board)は2017年10月25日、2017年の高等教育における傾向に関する報告書「大学学費の傾向(Trends in College Pricing)」及び「学資援助の傾向(Trends in Student Aid)」を発表した。
これによると、公立・私立大学の学費は年間2.9~3.6%増で、2017-18学年度の公立2年制大学、公立4年制大学、及び、私立非営利大学の授業料及び手数料の平均は、それぞれ3,570ドル、9,970ドル、及び、3万4,740ドルであることが明らかにされた。
これに対し、同学年度で4年制大学のフルタイム学生が返却を必要としない奨学金及び税控除として受給する平均学資援助は、公立大学が5,830ドル、私立大学が2万210ドルで、授業料・手数料の約60%が学資援助で支払われることになる。しかし、これら3つのいずれのセクタにおいても、学生及び家族が負担する正味学費の金額は、継続して上昇していることが明らかになった。
その他の主な結果は以下の通り。
- 2016-17学年度に大学生・大学院生が受給した返却を必要としない奨学金は総額1億2,540万ドルで、10年前からは74%増。大学生1人あたりの平均受給額8,440ドルは10年前から61%増で、大学院生1人あたりの平均受給額9,290ドルは同39%増。
- 返却を必要としない奨学金全体の中で連邦学資援助が占める割合は、ピークであった2010-2011学年度の44%から2016-17学年度には32%に減少。逆に、大学が支給する学資援助が占める割合は、2010-11学年度の35%から2016-17学年度には47%に増加。
- 低所得層学生を対象とした連邦奨学金「ペルグラント(Pell Grant)」の金額は、2006-07学年度~2016-17学年度の10年間で152億ドルから266億ドルに増加しているものの、連邦学資援助全体に占める割合は76%から66%に減少。一方、退役軍人学生のための学資援助は、同期間で32億ドルから129億ドルに増加し、連邦学資援助全体に占める割合は、16%から32%に増加。
- 学資ローン利用額は、2010-11学年度の1,256億ドルから2016-17学年度は1,065億ドルに15%減少。また、大学生1人あたりの平均ローン利用額は、2010-11学年度の6,260ドルから2016-17学年度は5,430ドルに減少。しかし、大学院生1人あたりの学資ローン利用額は、2010-11学年度の1万7,760ドルから2016-17学年度は1万8,430ドルに増加。
なお、「大学学費の傾向」は「Trends in College Pricing 2017」[PDFファイル:1.2MB]から、「学資援助の傾向」は「Trends in Student Aid 2017」[PDFファイル:1.1MB]から、それぞれダウンロード可能。
2017年10月25日
College Board:Students and Families Pay More Out of Pocket as Grant Aid Fails to Keep Up with Moderate Increases in Tuition and Fees