【ニュース・アメリカ】教育省による2017年監査結果から、大手学資ローンサービス企業による学資ローン利用者に不利なビジネス手法疑惑が浮上

 
教育省(Department of Education)が実施した、全米第3位の大手学資ローンサービス企業であるナビエント社(Navient Corp.)に対する2017年監査の結果、同社がローン利用者にオプションを紹介することなく高コストの返済プランを選択させることにより、自社の利益を増大させていた可能性があることが、AP通信社(The Associated Press)が入手した監査結果資料によって明らかにされた。
 
ナビエント社は、消費者を保護する法律に違反するとして、イリノイ州など5つの州から提訴されている他、消費者金融保護局(Consumer Financial Protection Bureau:CFPB)も、同社のビジネス手法は不公平、欺瞞的且つ強制的で、連邦消費者保護法に違反すると提訴している。しかし、教育省は、本監査結果を公表しておらず、米国学生法的保護ネットワーク(National Student Legal Defense Network)会長のアーロン・アメント(Aaron Ament)氏は、監査結果を知りながら、連邦省庁には同社のビジネス手法に関する司法権がないと主張し続けてきた教育省に対する不信感を表明している。
 
一方、ナビエント社は、教育省の監査結果に異議を唱えており、訴訟における嫌疑に関しても否定し、教育省との契約では、全ての利用可能なオプションをローン利用者に紹介することは義務付けられていないと主張している。
 
消費者金融保護局は、同社が2010年~2015年の間に返済保留措置を必要以上に利用させることにより、学資ローン利用者の返済額に利息約40億ドルを加えたとしており、政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)が2017年に行った調査でも、例えば学資ローン3万ドルを返済する学生が、経済的に困難な状態にある際に利用可能な返済保留措置を最長の3年間利用した場合、返済総額に利息分の6,742ドルが追加されることを明らかにしている。なお、教育省の報告書には、ナビエント社に対してビジネス手法の変更を提案しているものの、厳しい要件や制裁措置には言及していない。
 
入手された教育省による監査結果は、
https://www.documentcloud.org/documents/5205070-May-2017-FSA-Audit-Report.html
からダウンロード可能。
 
2018年11月20日
 
The Associated Press:AP Exclusive: Gov’t questions unfair student loan practices

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