【ニュース・アメリカ】教育省、オバマ政権下で発令された「十分な収入の得られる就職」規則の廃止を決定

 
教育省(Department of Education)のベッツィー・デボス(Betsy DeVos)長官は2019年6月28日、主に営利大学職業訓練プログラムにおいて、卒業生の収入に対してローン負債額が非常に高い状態が続いている場合は、連邦学資援助受給資格を剥奪する可能性があることを定めた「十分な収入の得られる就職(gainful employment)」規則の廃止を決定した。
 
本規則は、オバマ政権下で2014年10月に発令されたもので、当時、説明責任基準を満たしていないとされたプログラム1,400件のうち、99%は営利大学が提供するものであった。同規則は、在籍学生及び入学を検討する学生に対し、学費総額、卒業率、卒業生の収入、及び、同規則を満たしているか否かなどの情報を公表することも大学に義務付けており、賛同者は、卒業生の年収を上回る法外な学費を大学が請求することから学生を保護するものと評価していた。
 
デボス長官は、新規則は全ての学生を支援し、全ての大学を公平に扱うために考案されたもので、同規則の下で、教育省ウェブサイトからアクセス可能な大学データ「大学スコアカード(College Scorecard)」を通して提供する情報を今後さらに充実させるとしている。
 
これに対し、オバマ政権下で教育次官を務め、現在はリベラル系シンクタンクのセンチュリー財団(Century Foundation)上級フェローのロバート・シャイアマン(Robert Shireman)氏は、デボス長官による「十分な収入の得られる就職」規則廃止は、略奪的行為を行う営利大学に対し、学生及び納税者から搾取する機会を与えるもので、学生による支払いが不可能な負債を負わせても、大学が連邦学資援助受給資格を喪失するリスクがなくなったとして強く批判している。なお、同規則が正式に廃止されるのは、2020年7月となる。
 
2019年6月28日
 
The Washington Post:Trump administration formally rescinds rule governing career training programs
 

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