【ニュース・アメリカ】郡別に見た住民の大学学位保有率、人種・地理的環境により大きな格差

 
公共政策研究・権利擁護機関のセンター・フォー・アメリカン・プログレス(Center for American Progress)は2019年6月27日、人種及び地理的環境による大学学位保有率格差に関する調査結果をまとめた報告書『取り残された者たち(Those Left Behind)』を発表した。
 
本報告書は、2013年~2017年の米国コミュニティ調査(American Community Survey)データを使用し、米国(プエルトリコ含む)に所在する約3,220郡において、成人による学位取得状況を検証している。
 
また、同報告書と併せて発表されたインタラクティブマップは、準学士号以上の学位取得者の割合を郡ごとに色分けして提示している他、白人成人と非白人(黒人・アフリカ系、ヒスパニック・ラテン系、米国先住民・アラスカ先住民、ハワイ先住民・その他の太平洋諸島出身者で、アジア系成人は白人成人よりも学位取得率が高いため含まず)成人との間での学士号取得に見られる格差を表示している。さらに、全米約1万3,000校の大学キャンパス所在地も同マップに含まれる。
 
主な結果は以下の通り。

  • 米国成人を学歴別にみると、最大のグループは大学学位非保有者で、全体の約61%。この中には、高卒者(27%)、大学に進学したものの学位未取得(21%、修了証保有者を含む)、高卒以下(13%)が含まれる。一方、学位取得者は全体の39%で、内訳は、最高学位が準学士号8%、学士号19%、大学院学位12%。
  • 住民の学位保有率が低い郡は遠隔地域が多く、中でも、学位保有率下位10%に分類される郡の84%は遠隔地域に所在し、特に米国南部に集中。一方、上位10%に分類される郡で遠隔地域に所在するのは16%のみ。これらの郡は、米国の陸地面積の97%を占めるにもかかわらず、郡内に所在する大学数は、全米の僅か14%であるためと分析。
  • 学位保有率上位100郡のうち、93郡は都市部・郊外に所在。但し、学位保有率の高い都市部の郡は、郡内での学位保有率の人種・民族間格差が非常に高いことが問題。白人と非白人との間での学位保有率格差の高い都市圏は、ニューヨーク(56%)、デンバー(47%)、サンフランシスコ(44%)、ボストン(42%)、アトランタ(41%)、ロサンゼルス(35%)、シカゴ(32%)など。
  • 人種・地理的環境による学位保有率格差の縮小のためには、連邦政府レベルでの質の高い高等教育へのアクセス支援が重要であるが、州・地方政府、大学、地域企業、コミュニティリーダーなどを含む地域レベルでの取り組みも必要。

 
なお、本報告書に付随するインタラクティブマップは、「College degree attainment is heavily dependent on race and geography」からアクセス可能。

 
2019年6月27日
 
Center for American Progress:Those Left Behind
 

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
統計、データ 統計・データ
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