バージニア・コモンウェルス大学(Virginia Commonwealth University:VCU)に所属する社会学者のトレッシー・マクミラン・コットム(Tressie McMillan Cottom)氏らは、公立・ランドグラント大学を中心とする大学の学長215人に関し、学長就任に至るまでの職歴を調査した研究論文「企業化への繋がり~高等教育の企業化に向かう大学学長のソーシャルネットワーク分析~(The Ties that Corporatize:A Social Network Analysis of University Presidents as Vectors of Higher Education Corporatization)」を発表した。
これによると、大学学長の40.5%は大学でテニュアもしくはテニュアトラックの教員職に就いた経験がなく、この割合は2014年に教養大学学長248人の調査を行った際の33%よりも多いことが判明した。
米国教育審議会(American Council on Education:ACE)が5年毎に発表する大学学長調査の一環として2017年に発表された最新データによると、大学教職経験のない学長の割合は、2011年の30.4%から2016年には18.8%に減少しているが、VCUの研究結果は、これに反するものとなっている。また、今回の研究では、学長の46%は大学事務関連業務もしくは企業・軍・政府などの学術職以外からキャリアを開始していることが明らかとなっている。このような結果を受けてコットム氏らは、大学が純粋に公益を追求する機関から利益追求機関に変化する可能性に対する懸念を表明している。
なお、本論文は、以下よりダウンロード可能。
SocArXiv:The Ties that Corporatize:A Social Network Analysis of University Presidents as Vectors of Higher Education Corporatization
2018年5月30日
Inside Higher ED:By One Measure, ‘Nontraditional’ Presidents Less Rare