【ニュース・アメリカ】大学キャンパスにおける表現の自由に関する大学生の見解、性別・人種・性的指向・支持政党・宗教などによって大きな差

 
大学生の意見を収集・共有することを目的とした調査プラットフォームを提供するカレッジパルス(College Pulse)は2019年5月13日、ナイト財団(John S. and James L. Knight Foundation)の支援を受けて実施した、憲法第1条に対する見解に関する調査結果をまとめた報告書「大学キャンパスにおける表現の自由(Free Expression on College Campuses)」を発表した。
 
これによると、大学生は、表現の自由という権利の保護を支持する一方、多様なグループを受け入れる包括的社会と、過激な言論の自由の保護のどちらを重視するかという見解に関しては、性別・人種・性的指向・支持政党・宗教によって大きく異なることが判明した。
 
携帯アプリ及びウェブポータルを使用して実施した、2018年12月に4年制大学に在籍したフルタイム大学生4,407人を対象とする調査の回答に基づく主な結果は以下の通り。

  • 言論の自由の権利の保護に賛同する学生は全体の53%。また、包括的且つ友好的社会の促進が重要と回答した学生は全体の46%。
  • 憲法第1条の下で、ヘイトスピーチが保護されるべきと回答した学生は全体の58%である一方、41%はこれを不支持。また、女子学生の53%は、ヘイトスピーチを保護すべきではないと回答したのに対し、男子学生の74%は保護すべきと回答。
  • 女子学生の約60%は、包括的社会の促進がより重要な価値と回答したのに対し、男子学生では28%のみ。また、男子学生の71%は、言論の自由が包括性よりも重要と回答したのに対し、これに賛同する女子学生は41%のみ。
  • 包括性が言論の自由よりも重要な価値と回答した黒人学生の割合は、他の全ての人種・民族グループを上回る。黒人学生の60%超が、包括的社会の促進が言論の自由の保護よりも重要な価値と回答したのに対し、ヒスパニック系学生の49%、白人学生の42%がこれに賛同。一方、白人学生の58%とヒスパニック系学生の50%は、言論の自由の権利保護の優先度が高いと回答。
  • モルモン教徒の81%、白人福音派プロテスタントの71%、白人主流プロテスタントの64%、カトリック信徒の62%は、言論の自由の保護が包括性よりも重要と回答。これに対し、ユダヤ教徒の65%、ヒンドゥー教・仏教など東アジア宗教の信者の60%、特定宗教の信仰を持たない学生の54%は、有効的且つ包括的社会の促進がより重要と回答。
  • 白人学生の62%がヘイトスピーチも保護すべきと回答したのに対し、黒人学生の51%はこれを不支持。ヒスパニック系学生の52%は、ヘイトスピーチ保護を支持。また、異性愛者の64%はヘイトスピーチの権利を保護すべきと回答したのに対し、同性愛者では35%のみが支持。

 
なお、本報告書は、「FREE EXPRESSION ON COLLEGE CAMPUS」(PDF:4.92MB)からダウンロード可能。

 

2019年5月13日
 
Knight Foundation:New report: College students support the First Amendment, but some favor diversity and inclusion over protecting the extremes of free speech

 

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