【ニュース・アメリカ】大学におけるリメディアル教育、伝統的判定試験から代替手段への移行により不必要なリメディアル回避に成果

 
コロンビア大学(Columbia University、ニューヨーク州)教員養成学部の経済学及び教育学准教授で、コミュニティカレッジ研究センター(Community College Research Center:CCRC)上級研究員のジュディス・スコット・クレイトン氏(Judith Scott-Clayton)は、米国大学・コミュニティカレッジにおけるリメディアル教育の改革に関する報告書「大学リメディアル教育における証拠に基づく改革は拡大中 ~現時点では期待通り~(Evidence-based reforms in college remediation are gaining steam – and so far living up to the hype)」を発表した。
 
スコット・クレイトン氏は、2000年~2008年に増加を続けたリメディアル講座受講者数が問題視され、2009年以降に多数の研究が行われた結果、必要以上に多数の学生がリメディアル講座の受講を義務付けられていたことが判明したことを受けて講じられてきた対策を検証している。
 
同氏は、伝統的なリメディアル講座受講の必要の有無の判定においては、新入生に「コンパス(COMPASS)」や「アキュプレーサー(Accuplacer)」などといった判定試験を受験させ、その点数が基準点に到達しているか否かで判断されていたが、その結果、数学リメディアル講座受講者の約4分の1と英語リメディアル講座受講者の約3分の1は、大学レベルの授業を受講してもB判定以上の成績で合格する実力を持つという状態が生じていたことを指摘している。
 
このような問題に対処するために、カリフォルニア州及びテキサス州を含む8州では、複数の判定基準を使用してリメディアル教育の必要性を判定することや、大学レベルの授業を受講させながら補習を義務付けるなどといった、リメディアル講座受講者数縮小に向けた法制改革を行っている。
 
その結果、例えば、ロングビーチシティカレッジ(Long Beach City College、カリフォルニア州)では、高校の成績に基づく代替策を2012年に導入し、大学レベルの授業を入学直後から受講する学生数が、前年から数学で21ポイント、英語で56ポイント増加したが、大学レベルの授業の平均的な成績が顕著に低下することはなかったことが明らかにされるなど、一定の成果を上げている。
 
2018年3月29日
 
The Brookings Institution:Evidence-based reforms in college remediation are gaining steam – and so far living up to the hype
 

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
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