【ニュース・アメリカ】公立研究大学、州政府助成金減少を埋め合わせるために州外学生・富裕層学生募集を重視

 
平等を重視する政策研究グループのジョイス財団(Joyce Foundation)は、公立研究大学による学生募集の現状を検証した報告書「州外大学の募集(Recruiting the Out-of-State University)」を発表した。
 
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California at Los Angeles)とアリゾナ大学(University of Arizona)の研究者らが主導した本研究によると、調査対象となった大学15校において、州政府補助金の減少を埋め合わせるために、学生募集において、州内よりも州外の高校を重視しているほか、州内外共に私立高校及び富裕層が居住する学区の高校に偏った活動を行っているという。
 
この結果、学生構成は、富裕層、白人、州外からの学生の占める割合が増大し、成績の良い低所得層の学生は、地元の州立大学及びコミュニティカレッジに進学する傾向があるという。成績の良い低所得層学生が著名大学に進学しないことに関し、これまで、学生側の消極的な態度が原因として指摘されてきているが、本報告書は、大学がこれらの学生層を軽視していることも一因としている。例えば、アラバマ大学(University of Alabama)では、州外学生在籍数は、2002-03学年度に626人、2008-09学年度に1,895人であったものが、2017-18学年度には5,001人まで増加している。
 
なお、今回調査対象となった大学15校のうち、14校で2008年以降に州政府補助金が大幅に削減されており、2018年に州政府が拠出した学生一人当たりの補助金平均額は、2008年時と比較すると16%減となっている。
 
本報告書は、「州外大学の募集(Recruiting the Out-of-State University)」からダウンロード可能。
 
2019年3月26日
 
The Chronicle of Higher Education:Public Universities Work Hard to Make Up for Budget Cuts. But In-State Students May Be Paying the Price.
 

地域 北米
アメリカ
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