【ニュース・アメリカ】デジタル化が米国労働力に与える影響、全業界で影響を受けるものの程度は職種・性別・人種・地域などで不均衡

 
ブルッキングス大都市政策プログラム(Brookings Metropolitan Policy Program)は2017年11月15日、2001年以降の急速なデジタル化が様々な職業に与える影響を分析した報告書「デジタル化と米国の労働力(Digitalization and the American workforce)」を発表した。
 
本報告書は、全労働力の90%が就労する職種545種類を対象として、2001年以降のデジタルコンテンツの変化を分析したもので、各職種における変化の度合いを0~100点で採点している。その結果、実質的には全職種で「デジタルスコア」が上昇し、2002年~2016年の間の平均上昇率は57%で、特に低・中級レベルのデジタルスキルを必要とする職種において急激な上昇が見られることが明らかにされた。
 
主な結果は以下の通り。

  • 上級レベルのデジタルスキルを必要とする職種は、2010年~2016年の間の年収は年間平均0.8%増で2016年の平均年収が7万2,896ドルであったのに対し、中級レベル職では平均年収4万8,274ドル(0.3%増)で、下級レベル職では平均年収3万393ドル(0.2%減)。
  • 上級・低級レベル職の求人は急激に増加している一方、事務職・教育などといった中級レベル職の求人増加は緩やか。
  • 低級デジタルレベル職の業務の約60%は自動化の影響を受けるのに対し、上級レベル職で自動化の影響を受ける業務は約30%のみ。
  • 総合デジタルスコアは女性が48点、男性が45点で、女性がやや高いにもかかわらず、医療・事務職・教育などといった中級デジタルレベル職の約75%は女性が占め、上級レベル職と輸送・建設・天然資源などといった低級レベル職は男性が占める割合が圧倒的に高い。
  • 人種別では、工学・管理・数学などといった上級デジタルレベル職は白人及びアジア系米国人が占める割合が高く、黒人は中級・低級レベル職の割合が高い。一方、ヒスパニック系米国人が技術・ビジネス・金融などの上級レベル職に就く割合は極めて低い。
  • 地域別では、デジタル化が最も進んだ都市圏は、ワシントンDC、ワシントン州シアトル、カリフォルニア州サンフランシスコ、マサチューセッツ州ボストンで、テキサス州オースティン、コロラド州デンバー、及び、ウィスコンシン州マディソン、ノースカロライナ州ローリーなどといった学園都市がこれに続く。一方、デジタルスコアの低い都市圏は、ネバダ州ラスベガスなど。

 
なお、本報告書は、「DIGITALIZATION AND THE AMERICAN WORKFORCE」[PDFファイル:3.2MB]からダウンロード可能。
 

2017年11月15日
 
Brookings Institution:Digital technology is disrupting the American workforce, but in vastly uneven ways, says new Brookings report
 

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
統計、データ 統計・データ
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