大学授業料無料化を目指して立ち上げられた超党派のカレッジプロミスキャンペーン(College Promise Campaign)と教育試験サービス(Educational Testing Service:ETS)は2017年10月4日、米国内で運用されている異なる大学授業料無料モデルに関する報告書5編をまとめた報告書「カレッジプロミスイニシアティブのための持続可能な資金調達の策定(Designing Sustainable Funding for College Promise Initiatives)」を発表した。
同キャンペーンが最初に検証したモデルは、カレッジプロミスプログラムと子どもの学費積立預金(College Savings Account:CSA)を組み合わせるもので、大学学費に向けた積み立てを子どもが幼い頃から始めることを奨励している。
このモデルを採用しているカリフォルニア州の「オークランドプロミス(Oakland Promise)」は、オークランド市内在住の低所得家庭に生まれた子どもと、オークランド学区(Oakland school district)の幼稚園に入園する子ども全員のCSAを開くと共に、複数年の大学奨学金提供を計画しており、プログラム開始後、最初の4年間で3,500万ドルを調達する予定で、2017年1月までに約2,500万ドルを確保している。
また、テネシー州及びニューヨーク州では、州全体でプログラムに取り組んでいるが、例えば、テネシー州では、主に州の宝くじ予備金をプロミスプログラムの主要な資金源とし、2014年の同プログラム導入時には57.9%であった大学進学率が、2016年には61%に増加し、連邦学資援助無料申込(FAFSA)提出率も、2014年の60.4%から2017年には73.5%に上昇している。
但し、大半のプロミスプログラムに見られるのは民間による資金提供で、マーフィー石油会社(Murphy Oil Corporation)が資金を提供するアーカンソー州の「エルドラドプロミス(El Dorado Promise)」や、ピッツバーグ大学医療センター(Pittsburgh Medical Center、ペンシルバニア州)が資金調達パートナーを務める「ピッツバーグプロミス(Pittsburgh Promise)」などがこれに含まれる。
もう1つの例は、収入共有契約プログラム(income-share agreement program)とも呼ばれる成果ベースのモデルで、支給された奨学金に対し、大学卒業後に収入から一定の割合を返金する。パデュー大学(Purdue University、インディアナ州)の「バック・ア・ボイラー(Back-a-Boiler)」プログラムなどがこのモデルに含まれる。
本報告書は、プロミスプログラムに対する連邦政府の役割として、積極的に支援するのではなく、高等教育資金の安定化と大学及び学生に対する支援のために、州政府に報酬を提供することに重点を置くべきと提案している。
なお、本報告書は、「Designing Sustainable Funding for College Promise Initiatives」から閲覧可能。
2017年10月5日
Inside Higher ED:How to Pay for Free Community College
【ニュース・アメリカ】カレッジプロミスキャンペーンとETS、大学授業料無料化プログラムの事例をまとめた報告書を発表
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