【ニュース・アメリカ】2003-04学年度大学入学者グループ、1995-96学年度大学入学者グループと比較すると同一期間での学資ローン返済率が低く返済不履行率が高いことが判明

 
教育省(Department of Education)の米国教育統計センター(National Center for Education Statistics)は2017年10月5日、学資ローンの返済パターンを1995-96学年度大学入学者と2003-04学年度大学入学者の2つのグループで比較した報告書「1995-96学年度大学入学者と2003-04学年度大学入学者に見られる2015年時点での学資ローン返済状況(Repayment of Student Loans as of 2015 Among 1995-96 and 2003-04 First-Time Beginning Students)」を発表した。
 
2003年に大学に入学した学生は、米国の大不況の時期に大学を卒業している。本報告書によると、大学入学から12年間経過後に学資ローン残額がローン利用額全体に占める割合は、1995-96学年度大学入学者グループでは平均70%であったのに対し、2003-04学年度大学入学者グループでは78%であることが明らかになった。
 
また、同じ期間で、返済不履行となった学資ローン口座が1件以上あるローン利用者は、1995-96学年度大学入学者グループでは全体の18%であったのに対し、2003-04学年度大学入学者グループでは27%であった。連邦学資ローン返済に苦労している利用者の経験は様々であるが、学位取得課程に入学したものの学位を取得していないローン利用者及び、営利大学進学者の返済不履行率が高く、2003-04学年度大学入学者グループにおける営利大学進学者では、半数以上が大学入学後12年以内に返済不履行となった学資ローン口座が少なくとも1件あり、同グループのコミュニティカレッジ進学者ではその割合が約25%であることが判明した。
 
また、同グループで、1995-96学年度大学入学者グループと返済状況が同程度もしくはより良い状況であるのは、4年制大学進学者もしくは学士号取得者で、同グループの公立4年制大学進学者は、大学入学から12年後時点で、ローン利用額の平均61.7%を返済済みであるのに対し、1995-96学年度大学入学者グループでは63.1%であった。
 
これらの結果に対し、米国コミュニティカレッジ協会(American Association of Community Colleges:AACC)政府関連問題・政策分析担当上級副会長のデービッド・ベイム(David Baime)氏は、学費高騰に伴いローン利用額が上昇すると返済期間が長くなる他、長期間をかけて返済するオプション選択者が増えた可能性もあるとした。
 
一方、営利大学を代表する高等教育団体の職業教育大学(Career Education Colleges and Universities)会長兼CEOのスティーブ・ガンダーソン(Steve Gunderson)氏は、営利大学セクタにおける返済不履行率の増加は、景気後退とオンライン講座人気の上昇に伴う在籍者数の増加によるものとコメントしている。
 
なお、本報告書は「Repayment of Student Loans as of 2015 Among 1995–96 and 2003–04 First-Time Beginning Students」[PDF:1.71MB]からダウンロード可能。
 
2017年10月5日
 
Inside Higher ED:Post-Recession Borrowers Struggle to Repay Loans
 

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