【ニュース・アメリカ】アラスカ大学システム、州政府からの補助金41%減により存続の危機に

 
アラスカ大学(University of Alaska)システムのジム・ジョンセン(Jim Johnsen)学長は、アラスカ州のマイク・ダンレビー(Mike Dunleavy)知事が、同大学システムに州予算から補助金1億3,000万ドルを拠出するという歳出項目に対する拒否権を2019年6月28日に行使したために州政府からの補助金が41%削減されたことを受け、同大学及びアラスカ州の将来に対する懸念を表明した。
 
アラスカ州議会は、7月12日深夜までに、同知事による拒否権行使を無効にする投票を行うことができ、議席数の60%(45議席)による賛成票で無効と出来るが、現状では、審議を行う場所に関しても合意されていない状態で、拒否権が覆される可能性は低いと見られている。
 
ジョンセン学長は、同拒否権が行使されたことにより、アラスカ大学が回復不可能な損害を受ける可能性があるとしており、経済学者らも、今回のような大規模な予算削減により、アラスカ州が再び景気後退に陥る可能性があると警告している。
 
また、アラスカ大学は、特に気候研究を主導する大学であることから、将来の環境研究にとっても打撃となる可能性がある。さらに、ジョンセン学長は、同システム傘下の大学3校のうち、1校の閉鎖を余儀なくされる可能性がある他、閉鎖を免れたとしても、大学認可を喪失する可能性があるとしており、現時点で、教職員2,500人に対して一時解雇通知が送付され、採用・出張が凍結されているという。この他、4,000人以上が失業すると予測され、このうち2,000人は、大学システムへの補助金削減に直接関連すると見られている。
 
なお、ジョンセン学長ダンレビー知事による拒否権行使を受けて発表した声明文は、こちらからダウンロード可能(PDF:89.12KB)。
 

2019年7月12日
 
College News:University of Alaska Prepares for Budget Slash from Which It May “Never Recover“
 

地域 北米
アメリカ
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