大学アクセス・成功研究所(The Institute for College Access & Success:TICAS)は9月18日、大学卒業者の学資ローン負債に関する年次報告書「学資ローン負債と2018年大学卒業者(Student Debt and the Class of 2018)」を発表した。
これによると、公立・私立非営利大学の2018年卒業者の65%は学資ローン負債を抱え、平均負債額は2万9,200ドルで、2017年卒業者の平均負債額2万8,650ドルから2%増となったことが判明した。
また、平均負債額は州によって大きな差があり、最も低いユタ州では1万9,728ドルであったのに対し、最高のコネチカット州では3万8,669ドルであった他、学資ローン負債を持つ学生が2018年大学卒業者全体に占める割合も、ユタ州が36%で最も低く、ニューハンプシャー州が76%で最も高かった。
平均ローン負債額は、米国北東部の州で高く、西部の州で低い傾向が見られた。その他の主な結果は以下の通り。
- 低所得層家庭の学生は、高所得層家庭の学生と比較すると、学資ローン返済不履行となる確率が5倍で、大学入学後12年以内にローン返済不履行となる黒人大学卒業者は全体の21%。
- 学資ローン利用率の高い州では、学資ローン負債全体の31%が連邦学資ローン以外の利用によるものであることから、より総合的データを連邦政府が収集する必要あり。
- 連邦政府に対し、
- 低所得層学生向け奨学金「ペルグラント(Pell Grant)」を増額・強化すべき。
- 学資ローン返済を簡素化すべき。
- 公立高等教育への州補助金を補足する新たな投資をすべき。
- 民間学資ローンデータを収集すべき、などを提案。
州政府に対し、能力ベースの学資援助からニーズに基づく学資援助に移行すべきと提案。大学に対し、
- 学生の人口統計学的グループ全体での学資ローン負債データを検証すべき。
- 学生の緊急事態支援用に資金を確保すべき。
- 明確且つ理に適った学生の予算を設定すべき。
などを提案。
なお、本報告書は、こちらからダウンロード可能。