【ニュース・アメリカ】GAO、子どもを持つ大学生に対する教育省による支援の現状を検証(9月12日)

政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)は9月12日、子どもを持つ大学生に対する教育省(Department of Education)による支援の現状を調査した報告書「高等教育 ~より多くの情報を提供することで、子どもを持つ大学生のさらなる学資援助利用を支援できる可能性あり~(Higher Education: More Information Could Help Student Parents Access Additional Federal Student Aid)」を公開した。
 
GAOは、

  1. 子どもを持つ大学生の特徴と大学卒業率に関する現状
  2. 教育省が子どもを持つ大学生の保育料を負担する「保育提供を通した子どもを持つ学生支援(Child Care Access Means Parents in School:CCAMPIS)」プログラムの現状と教育省による成果報告の信頼度
  3. 保育料支払い支援を目的とした連邦学資援助増額オプションに関する大学による広報の程度

の3点を検証するために、2009年と2016年の連邦学生データとCCAMPISプログラムデータを分析している。
 
その結果、1.に関しては、2015-2016学年度には、学士課程在籍学生全体の22%(1,950万人中430万人)が子どもを持つ学生で、その中の約55%がシングルペアレント、44%がフルタイム労働者、64%がパートタイム学生であることが判明した。また、保育料負担額は月額平均490ドルで、2009年時点で52%が学位を取得せずに退学しており、子どものいない学生の32%を大きく上回った。
 
また、2.に関しては、2016-2017学年度には、学生約3,300人が約4,000人の子どもの保育料支払い支援のためにCCAMPISプログラムを利用しているものの、さらに待機児童約4,200人がいることが判明した。CCAMPISプログラム参加者の大半は、保育料の一部を自己負担しており、自己負担額中央値は月額約160ドルであった。教育省は、同プログラム参加者の持続率及び卒業率を算出しているものの、算出法に問題があり、同プログラムの評価に必要な信頼性あるデータは得られていない。
 
一方、3.に関しては、学資援助額の算出の際に扶養家族支出補助金を加えることを大学に要請することで、連邦学資ローン利用額増額が可能な学生もいるが、GAOが調査した大学ウェブサイトのうち、約3分の2はこの補助金に関する記述がなかったことが判明している。大学には、同補助金に関する記述を大学資料に掲載する義務はなく、教育省も掲載を奨励していないため、受給資格のある学生が、大学卒業を支援する学資援助オプションを認識していない可能性があるとした。
 
これらの結果を受け、GAOは教育省に対し、

  1. CCAMPISプログラム参加者の持続率・卒業率算出手段の修正
  2. 保育費支払い支援を目的とした連邦学資援助増額オプションに関する情報を学生に提供

の2点を提案した。教育省は、これらの提案に同意していないが、実績評価算出手段を改善する計画を提示している。
 
なお、本報告書は、こちらからダウンロード可能。
 
GAO: Government Accountability Office, Higher Education: More Information Could Help Student Parents Access Additional Federal Student Aid

地域 北米
アメリカ
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