【ニュース・イギリス・日本】英国のより多くの学生が、自らの研究の一環として日本を目指す

 
2019年6月7日、英国大学協会国際部(Universities UK International:UUKI)は英国学生が研究の一環として日本を目指していることのレポートをまとめた。英国の高等教育システムは、それ自体が非常に国際的であると自負しており、世界中の学生を惹きつけ、英国の大学に来て研究することに誇りを持っている。
 
しかし、英国の大学は、学生が研究や就労、ボランティア活動を大学在学中に国外で行う人数に関しては、他国の大学に比べて遅れをとっている。
 
そのような状況は、徐々にだが変わり始めている。2017年以降、各機関・大学が所属学生に対して課程在籍中に海外に行くよう奨励する革新的方法を紹介する一方で、Universities UK Internationalによる“Go International: Stand Out campaign”が高等教育部門内全体の学生の海外への機動性を高めてきた。このプログラムの多くは、より柔軟性があり短期間の機会を提供することや、国内のプログラムやインターンシップを機動性に統合することに置かれており、どちらの手段も幅広い学生を機動的にすることを奨励している。
 
留学する英国学生の総数が緩やかに増加したことにより多様性がもたらされている。ヨーロッパや英語圏の国々が未だに主な英国学生の留学先である。しかし、年々、英国の学生がより遠く離れたところで留学する割合が高くなっていくことが期待できる。
 
その好例が日本である。2017/2018学次年度において約930人の英国学生が日本で留学生活を送っており、2016/2017年度から約25%増加し、2015/2016年度と比較すると37%増加している。部門全体を見ると小さい数字であるが、大幅な成長を遂げている。これは部分的には、英国の大学が日本の大学とのパートナーシップを強化し、日本の研究プログラムの枠組みの外でもより多くの学生交換協定や短期留学の機会を調整したことによる結果である。それはまた、英国全般、特に若者の間で日本への関心が高まっていることの反映なのかもしれない。
 
しかし、この話には日本側の側面もある。2012年以降、安倍晋三率いる日本政府は日本国内の人口減少、経済的停滞、文化的孤立などを受けて、大学の国際化への資金投入に取り組む政治的イニシアティブを導入してきた。それに応じて、日本の大学は留学生誘致を大幅に増加させてきた。日本の大学は、アジア以外の留学生の協定の多様化を、国内学生を国外に向かう機会を提供するのと同等に注意を向けている。
 
日本の大学は、短期間交換留学協定が最も成功する可能性があると認識している。日本人学生の短期間留学プログラム経験者数は、2010年以降430%増加している。短期間留学の協定は、英国・日本双方で繰り返される機動性に関する障害を軽減する。その障害とは、留学中の高額な家賃や生活費、言語能力に関する不安、銀行口座振替や履修に関する課題、職業経験に関する関心などである。短期間留学は、また、学生たちを将来的により国際的に活動することを奨励し、“本国での国際化”に貢献するための基盤を形成する。
 
以下のケーススタディは、英国と日本間で行われている短期交換留学の多様性を反映している。

  1. サフォーク大学と慶応大学で約20年実施されている看護学生の交換留学プログラム。国際的観点から看護に関する様々な課題について二週間ほどお互いの大学で学習を行う。
  2. レディング大学と武蔵野美術大学で2015年に協定が結ばれた交換留学プログラム。大学ないし大学院の最終学年に属する学生が、共同で美術展やワークショップを開催する。
  3. インペリアルカレッジと東京工業大学のサマーフェロープログラム。2018年に開始され、インペリアルカレッジの博士課程の大学院生20名が5日間プログラムの開発などを行い、そのうち約半数は3週間研究を行う。2019年は東工大の博士課程の大学院生がロンドンを訪れることになっている。
  4. 千葉大学とグラスゴー芸術大学の交換留学プログラム。2011年から実施されており、2週間に亘り日本とスコットランドでデザインワークショップを行う。

 
国内の大学に所属する学生の経験に国際的な流動性を取り入れることは、英国と日本双方の大学にとって、より優先されることである。上記事例が示すように、強力なパートナーシップ、良好なコミュニケーション、明確なテーマ設定が持続的学生交流協定の肝である。
 
2019年6月7日
 
UUK:More UK students head for Japan as part of their studies
 

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