今年の卒業シーズンは、中国初の職業学部卒業生の就職とキャリアに関心が集まっている。教育部は2019年から、一部の学校における学部レベル職業教育モデル事業の実施を承認し、その初めての学生たちが今年卒業を迎える。中にはリーディング企業に就職する者もいれば、より多くの選択肢が待つ未来に向かって進学を選択する者もいる。

 
職業学部と普通学部は何が違うのだろうか。職業学部卒業生は卒業証書に「職業」の文字があるために、進学や就職で差別されることはないのだろうか。職業学部という新しいジャンルの学部ができたことで、こうした点に関心が高まっている。

 
中国が学部レベルの職業教育を行っている理由は、職業教育の地位を向上させ、職業教育を普通教育と対等な類型教育へと整備し、人材育成の構造を最適化するためである。職業学部の運営の質と最初の職業学部卒業生の進路は、この種の高等教育機関の運営の見通しに直接影響するだけでなく、職業教育法の実施にもかかわり、就職・起業の促進、技能型社会の構築にとって重要な意味がある。

 
職業学部については、一時は「先行きを悲観する」声が大きかった。「学歴重視、技能軽視」という社会の現実的問題を考え、職業学部の運営者や学生、保護者からも、学部レベルと言っても、普通学部より地位が低くなるのではと心配する声がある。近年、全国各地の両会（人民代表大会と中国人民政治協商会議）では、職業学校の「職業」を「応用」または「技術」に改めるべきとする声も少なからずある。また、教育部は職業学部の学校の校名に「職業」の文字を残すよう要求しているが、職業学部が職業教育の位置づけを堅持できるか、職業教育の位置づけに甘んじることができるか、就職を指向しつつ高度な資質を有する技能人材を育成できるのかは別問題である。

 
こうした点について、国務院学位委員会弁公室は関連の文書を印刷・配布し、普通学部と職業学部はいずれも「中華人民共和国学位条例」「中華人民共和国学位条例暫定実施弁法」「学士学位授権及び授与管理弁法」に従って、学士学位の授権・授与、管理および品質の監督を行う旨指摘し、両者の証書の効力は等価であり、就職、大学院進学、公務員試験などにおいて同等の効力を有する旨述べた。しかし、本当に等価であるかは、実際の検証が必要である。

 
特筆すべきは、大学卒業生の就職難と企業側の採用難が同時に存在し、ここに我が国の高等教育における人材育成の構造および質と社会的ニーズが乖離しているという深刻な問題が浮き彫りになっているということである。人材に対する社会のニーズを見ると、大部分の地方の学部大学は職業教育を行い、就職を目標とした運営を行うべきであるが、実際には総合大学として運営したい、学術型人材を育成したいという衝動を抑え切れない大学が多い。これにより人材育成の構造と社会のニーズに不均衡が生じるとともに、「どっちつかず」な人材育成の質という問題もはらんでいる。

 
新職業教育法では、職業教育は普通教育と同等の重要な地位を有する教育類型である旨が明確にされている。職業教育が真に認められるには、類型教育の特色を鮮明に打ち出すことが不可欠である。職業学部を有する大学は職業教育の位置づけを維持し、産業と教育の融合、大学と企業の協力による学校運営を推進する必要がある。育成した卒業生が産業界、企業のニーズと緊密に結びついていることは採用企業から歓迎されるはずである。

 
職業学部大学の運営の質を向上させ、職業教育に対する社会の認識を転換するには、好ましい相互作用が必要である。採用企業は求人の質を高めることから出発し、採用要件を科学的に設定しなければならない。技能人材を募集する求人については、学歴要件を緩和し、求職者の技能を考慮することを重視しなければならない。そうすれば、職業学部大学が技能育成を重視することを促し、学校運営に特色と競争力を形成することができる。そうしてこそ就職難と採用難が併存するという問題を根本から解決することができる。求職者の学歴をむやみに強調することは、資の高い人材の採用と人材資源配置の最適化にとって無益である。

 
最初の職業学部卒業生の進路からある程度明らかになっているように、卒業証書と学位証書の「職業」の文字は、決して学生の進学・就職の足かせにならない。職業学部が人材育成の質を重視し、専攻・カリキュラムの設置、人材育成モデルにおいて、類型教育の要件に従い、職業教育による人材育成の位置づけと特色を打ち出せば、「職業」はむしろ職業学部卒業生の強みとなる。職業学部卒業生が普通学部卒業生と対等、ひいてはそれ以上の就職・キャリアの将来性があるということになれば、職業教育に対する社会の認識の転換が進み、職業教育の伸び代も広がり、学生が成功するための選択肢も増えるだろう。

 
光明日报 2022/07/12

澎湃新闻：　光明日报刊文：让“职业本科”成为金字招牌