【ニュース・中国】今年の卒業シーズンの就職市場は「クラウド採用」が主流:ライブ配信が就活の新たな架け橋に(3)

 
成功率のさらなる向上に期待

 
現在、マーケティング手段としてのライブ配信がますます認知され、活用されるようになっている。ライブリクルートも、労使双方の接触率向上に多くの機会をもたらしている。もっとも、情報容量の大きさ、職種の幅広さ、フィードバックの早さといったメリットがある一方、ライブリクルートは、ライブコマースと異なり、人と人との交流が基本であることから、ライブリクルートをいかに求人側と求職側のニーズに合ったものにするかが重要である。この点については今後も技術的手段や運営方法を絶えず改善し、就職成功率を高める必要がある。

 
求人側の企業はライブリクルートをどのように捉えているのだろうか。曽氏の考えでは、オンライン採用のメリットは時間的・空間的な制限に縛られないことにあるが、オフライン採用のように、面接官と学生が対面で踏み込んだコミュニケーションを図ることは難しく、学生が企業に対して持つ印象も薄くなる。そのためオンライン面接、オフライン面接それぞれにメリット、デメリットがあり、両者をうまく組み合わせてこそ、より良い効果をあげることができるという。

 
陳氏は「オンライン採用のデメリットは対面の時のように相手を直接見ることができないことにあり、企業に対する求職者の認識が偏ってしまう場合が多い。企業のPR映像を見たり採用担当からの話を聞いたりしただけでは、実際に企業に入ったときすぐに期待がしぼんでしまうことがあります」との見解を示した。

 
林氏は「企業の実際から見ると、ライブリクルートの背景に関する統計データは不完全で、おおまかなトラフィックのデータしか分かりません。求職者の専攻や学校、成績、長所、性格さらにはどういったチャネルからライブ配信ページに入ったのかを掘り下げて知ろうと思っても、明確な傾向がありません。事後にライブ配信の効果を分析しようとしても、重要データの裏付けが取れない場合も多い。そのため、企業の採用活動は、オンラインと対面を組み合わせた方法で行うことが必要で、モニター越しもいいが、対面でのコミュニケーションも必要です」と話す。

 
華帝股份有限公司の採用責任者である張雲氏は記者の取材に対し、「ライブリクルートが今盛り上がっていますが、効果をより際立たせるには、さらに時間をかけて改善していくことが必要です。ライブ配信を見て仕事を探すという認識がまだない人も多い。学内で企業説明会・面接を開催する場合、学校側と直接つながりがあるため、ライブ配信効果が高いが、学外での説明会・面接の場合はプラットフォームのみで集客するため、ばらつきがあります。そのため、ライブリクルートという形を選ぶのであれば、参加形式は単調で型にはまったものではいけません。今は従業員向けの福利厚生を重点的に紹介するほか、「紅包(ホンバオ)」(訳注:伝統的なご祝儀から転じて、ネット上で金銭・特典を無償で配ること)でトラフィックを集め、宣伝効果の向上に努める必要があります」と説明した。

 
オンライン採用の成功率を高め、ライブリクルートなどのオンライン方式をより採用ニーズにマッチしたものにすべく、人材募集プラットフォームは、科学技術面から見ても興味深い製品を開発している。例えば、智聯招聘は、ビッグデータの蓄積と先進的な評価モデルを活用して、人工知能とリアルな面接シーンのシミュレーションを組み合わせ、一連のハイテク技術で応募者の面接動画や音声の意味情報、文字を自動で分析できる動画面接製品「AI簡単面接」を自主開発した。これにより企業の面接効率を向上させ、採用コストを削減することができ、人材採用をめぐる難題の解決につながる。

 
応募者の側から見ると、社会経験の少ない大学卒業生はライブ配信ページで職を選択することが難しい場合が多い。ライブリクルートにより求人・求職双方の距離が縮まり、雇用ルートが広がったが、雇用につながる鍵は、やはりそのポジションに求められる技術的な要件を満たし、採用企業の期待する業務能力に合致することである。求人・求職双方はライブリクルートを利用するにあたって、互いにマッチングするだけでなく、採用シーンの先に視線を向けなければならない。

 
蘭州財経大学は北京鏈家と共同で「就職実習拠点」を構築し、大勢の学生に就職実習の場を提供している。「企業との連携を深めていきたいと考えています。」蘭州財経大学財税・公共管理学院不動産開発・管理学部の王宗永主任によると、学校では理論や知識を重点的に教え、企業が学内で実務について解説を行う。各方面が協力して初めて、社会、企業のニーズにマッチした優秀な人材を育成、輩出することができるという。

 
蘭州財経大学国際経済・貿易学院国際ビジネス専攻で学ぶ大学3年生、楊思紅さんはこの夏休みに実習の機会を探している。「社会人経験がないため、ライブリクルートを何回か見ても、しばらくは何をしていいのか分かりませんでした」と楊さん。「6月初め、学院と北京鏈家が模擬就活コンテストを共同で開催することを知り、就活対策をしたいと思って申し込みました。今回のコンテストを通じて採用の流れや優秀な人材とは何か、応募者にはどのような中核的な能力が求められるのかといったことがよく分かり、今後社会人となる上での方向性が明確になりました。来年ライブ配信ページで実際に就活を行う際には、きっと満足のいく仕事を見つけられるだろうという自信がつきました。」

 
经济日报2022/07/08


澎湃新闻: “云招聘”成今年毕业季就业市场主流:直播带岗搭建新桥梁


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