【ニュース・中国】博士課程の統一募集・一貫育成の確実な推進を(2)

 
現在のわが国の大学院博士課程教育における不備と制約

 
 博士課程の学生は全体規模が小さく、質の向上と募集の範囲拡大が待たれる。統計によると、2019年の全国の大学院生募集数は91万6,500人で、
そのうち博士課程は10万5,200人、修士課程は81万1,300人であり、在学中の大学院生286万3,700人のうち、博士課程は42万4,200人、
修士課程は243万9,500人であった。また、修了生は63万9,700人で、そのうち、博士課程は6万2,600人、修士課程は57万7,100人であった。
近年、わが国の大学院生の募集数は年々増加しており、絶対的な規模は先進国の平均レベルにまで達している。しかし、博士と修士の人口比を
見ると、わが国は博士の人口比は先進国の5分の1、修士の人口比は先進国の3分の1と、先進国を大きく下回っている。

 
わが国の大部分の双一流高等教育機関では、学部から博士課程への直接飛び級コース、修士・博士一貫コース、海外との連携プログラムなどの一貫育成
プロジェクト
を設けている。しかし、全体の割合は依然として低く、特に博士課程への飛び級は、全国でも募集総数の10%しか満たしておらず、
修士・博士一貫コースでも30%前後にとどまっている。飛び級コースは大学院への推薦・試験免除の資格を有する学生しか受験できず、
しかも募集専攻が限られている。また、修士・博士一貫コースは、その大学院に所属している修士課程の学生の中から内部選抜するという規定
がある。このため、卒業見込みの学部生および既卒の学士号取得者の大部分は直接博士課程に進学するルートに乗れず、大学院博士課程の選抜
範囲が著しく狭まっている。

 
 また、現在国外の一流大学で学士号を取得中の学生も博士課程への飛び級を受験することができず、少なからぬ優秀な学生の流失を招いている。
アメリカの「2019年オープンドア国際教育交流報告書」によると、2018~2019年にかけて、中国本土からアメリカに留学した人数は合計で
36万9,548人と、アメリカ国内の留学生全体の33.7%を占めている。そのうち、学部生は14万8,880人、大学院生は13万3,396人となっている。
わが国に対するアメリカのハイテク技術の囲い込みと制裁が厳しくなるにつれ、こうした大学院生はわが国がイノベーション主導型発展戦略、
科学技術の戦略的優位性の構築を実施するにあたっての重要な資源となる可能性が高い。したがって、早急に大学院博士課程、特に飛び級生の
募集の仕組み改革を進め、留学生の国内回帰と継続的なキャリア形成を支援する必要がある。
 
 2020/11/16
 


光明日报: 切实推进博士生统筹招生、贯通培养

地域 アジア・オセアニア
中国
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