【ニュース・中国】北京大・清華大に匹敵する「非211」の規模は? 今年の新入生は1万6,000人超え

 
全ての211プロジェクト指定校以外の学校、「非211」大学の中で、最も知名度が高く名声を博しているのは、中国科学院大学である。同校は2014年に学生募集を始めたばかりだが、その前身である中国科学院大学院生院は1978年に大学院生の募集を始めた。1982年に中国国内で初めて博士号を取得した大学院生のうち、実に58%が中国科学院の育成した人材だった。現在、本科・修士・博士をカバーする中国科学院大学の学歴教育育成体系は清華大学や北京大学と同じくらい高い評価を受けている。
 
新中国初の理学博士、工学博士、女性博士、二重学位博士は、いずれも中国科学院大学が育成した学生だった。2019年5月に発表されたEssential Science Indicatorsの頭文字を取った、学術論文の引用動向データを提供する統計データベースであるESIのランキングによると、中国科学院大学は清華大学・北京大学を抑えて世界第85位にランクインし、中国本土の大学や学院でトップに立った。中国教育部が行う、大学院を対象としたレベル評定としての第4次学科評定で、中国科学院大学は30の学科でA類に認定され、うち18学科がA+だった。中国科学院院士及び中国工程院院士のうち、少なくとも108人が中国科学院大学卒で、国家傑出青年基金獲得者の4分の1が中国科学院大学の出身者である。
 
中国科学院大学の運営形式は独特で、「学院と研究所が融合した指導体制・教師陣・管理制度・育成体系」を実施している。同校の運営には多くの科学研究機関が関わっており、在学生数は5万人を超えている。2019年1年だけでも、中国科学院大学に入学した新入生は1万6,000人を超えており、そのうち、博士課程が6,800人、修士課程が9,100人、学部生が398人、64か国からの留学生が400人余りだった。
 
中国科学院大学の学生は、修士課程と博士課程の学生がメインで、学部生が全学生に占める割合はほんのわずかである。だが、ほんのわずかしかいない学部生は、次に挙げる学習・研究面で人も羨むほどの「特権」を持っている。まずは、20数人の院士が学部生向けの授業を行うという「特権」だ。中国科学院大学では、学部生は毎期300~400人ほどしか募集しないため、ほぼ全ての学部生に院士と交流するチャンスがある。次に、中国科学院大学の学部生は中国科学院の各研究所で研究することができ、最先端の測定計器を自分の研究のために使うこともできるという「特権」だ。さらに、中国科学院大学の学部生の大部分は半年間の海外研修に行くチャンスがあるという「特権」、中国科学院大学の学部生向けの専門科目の講義はみな教授の肩書きを持つ教師が行うという「特権」もある。
 
ここで挙げた「特権」はどれも、中国科学院大学でしか享受できないもので、他の大学や学院では絶対に手にすることができないものだろう。ここで指摘すべきは、学部生がこれほど多くの最先端の資源を享受できる大学は、全国でも中国科学院大学だけで、これも中国科学院大学が清華大学や北京大学と同等の評価を受けている大きな理由の一つだ、ということである。
 
トップレベルの優れた資源に、特色ある人材育成モデルを有する中国科学院大学の学部生は、個人の成長の面でも一つまた一つと「頂点」を作っていく。同大学は2018年に初の卒業生を世に送り出したが、290人の学部生のうち247人が引き続き研究を行うという道を選んだ。学部生の進学率は「双一流(世界一流大学・一流学科――訳注)」大学でトップである。
 
もちろん、中国科学院大学が清華大学や北京大学と肩を並べているのは人材育成レベルだけでなく、同大学の有する非常に優れた研究プラットフォームも、多くの大学や学院が足元にも及ばないレベルにある。同大学は現在、23の国家重大科学技術インフラ、2か所の国家研究センター、77か所の国家重点実験室、189か所の中国科学院重点実験室、9か所の国家工程研究センター、17か所の国家工程技術研究センター、15か所の国家工程実験室を有している。
 
中国科学院という規模が大きく資源が優れる「後ろ盾」があるため、中国科学院大学はほぼ向かうところ敵なしで、多くの分野で同大学に太刀打ちできる大学や学院が見当たらず、「独り勝ち」状態になっている。同大学の強い「オーラ」は、数多くの成績優秀な受験生を引き付けてやまず、合格ラインはずっと高い状態にある。2019年の湖南省の大学受験「高考」で、理工系は、中国科学院大学の「投档線(受験生の資料を大学・学院に提供するのを判断する基準――訳注)」が661点と、浙江大学、中国科学技術大学をはじめとするトップクラスの「985工程大学」を上回った。また、2019年の山東省の「高考」で、理工系は、中国科学院大学の「投档線」が673点と、上海交通大学、中国科学技術大学、浙江大学などを上回った。
 
中国科学院大学は新たな歴史の転換点にあり、大学づくりのモデルを絶えず刷新し、様々な地域や有名企業との協力を展開している。先ごろ四川省の天府新区で着工した中国科学院大学成都学院は、中国科学院大学の新たな傑作だ。
 
「博学篤志、格物明徳」という校訓は、真摯に真実を追い求め、イノベーションに必要な科学的素養と粘り強く続ける力、卓越を追求する研究者としての品格を備えた学生の育成に意を注ぐと同時に、「家国情懐」(国家の一員として国のために尽くすという意識――訳注)の文化を受け継ぎ、学生の「国を愛し国に尽くす」使命感と責任感を育むことにも意を注ぐことを示している。科学人材を育成し、社会全体の科学技術の進歩を促すことを使命とする中国科学院大学は、国のために一流のイノベーション人材を数多く送り出している。
 
我々は、2020年に中国科学院大学は世界的影響力のある一流研究型大学の仲間入りを果たし、2035年に世界の一流研究型大学のトップグループに躍り出て、2050年に世界トップクラスのイノベーション型大学に登り詰めるという目標が早く実現するのを期待している。
 
2019年9月4日
 
青塔:这所声望比肩清北的“非211”规模有多大?今年新生超16000人
 

地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育、研究
レポート 海外センター