【ニュース・中国】清華大学とインペリアル・カレッジ・ロンドンが新型コロナウイルス対策共同シンポジウムを開催(3)

 
シードファンドを立ち上げ、学者の協力研究をサポートする
 
 シンポジウムではワクチンの研究開発とウイルス検査、経済的困難の3つの議題について発表がなされた。

 
 討論では実現可能性があり安全性も高いワクチンの早急な研究開発がポイントだった。インペリアル・カレッジ・ロンドン化学工学科主任の
ニレー・シャー博士は、新たなワクチン製造プラットフォームプロジェクトについて報告した。プロジェクトはワクチンの研究開発に着目し、
臨床と開発、治験、製造工程開発、大量生産とサプライチェーン管理などの面から新たなワクチン生産プロセスを構築している。彼はプロジェクトが
二つの大きな困難に直面していると指摘した。一つは特定地域で発症した突発的な疾病に素早く対応したワクチンの大量生産を実現することの
難しさであり、もう一つはワクチン接種がまだ完成していない世界的疾病に対し大規模なワクチン接種プラットフォームを提供し、安全性を保証する
ことの困難さだ。

 
 清華大学医学部の張林琦教授は、研究チームのワクチン研究状況を発表した。チームは新型コロナウイルス感染から回復した患者の血漿を
分析して有効性の高い抗体を分離し、アデノウイルスベクターまたはmRNA形式をワクチンの生成方式とした。今後、臨床治験段階に入り、より多く
の治療薬候補の開発に力を入れると述べた。

 
 インペリアル・カレッジ・ロンドン電気・電子工学科生物医学電子学専門のパンテリス・ジョージ氏はチームの新型コロナウイルス検査に
関する研究成果を報告した。ジョージ氏はSARS-CoV-2の迅速かつ正確な診断が新型コロナウイルス克服の鍵になるとの考えを示し、チームが
開発したマイクロチップ技術は感染者を素早く正確に識別、監視することができ、感染の爆発的流行を抑制するのに役立つとした。

 
 中国工程院院士で清華大学医学院の程京教授は、今回の感染流行のために開発・承認され、武漢などに寄付された6つの呼吸器ウイルス性
病原体核酸検出試薬キットと感染流行に対応する一連の新技術についての研究開発状況を発表した。程教授は、チームは現在正確・簡便・短時間に
新型コロナウイルスを検出する車載可能な新型コロナウイルス核酸検査移動実験室を開発していると述べた。程教授はさらに、今後起こりうる
新たな突発的伝染病の感染流行に対応するため、国は重大な感染流行を監視するITシステム「天網」を構築すべきだと提起した。

 
 シンポジウムでは、両校の学者は感染流行によって引き起こされた経済問題についても討論した。インペリアル・カレッジ・ビジネス
スクールの金融経済学者デビッド・マイルズ教授は、新型コロナウイルスの感染流行は世界的な公衆衛生の危機であり、経済危機でもある
との考えを示した。マイルズ教授は、感染流行が英国およびヨーロッパ経済に与えた影響を分析するとともに、現在の貨幣政策のプラス
マイナスを全面的に分析して発表した。清華大学五道口金融学部の鞠建東教授は、「3W3H」モデルを提起した。感染状況・金融市場・マクロ
経済の3つの面から現在の国際金融情勢を分析し、「入国は厳格に管理するが、国内は開放する」という最良の予防・抑制策を提起した。

 
 清華大学とインペリアル・カレッジ・ロンドン理工学院は20年以上にわたる長期協力関係にあり、生物医学の画像処理や
コンピューティング、エネルギーなどの分野で科学研究協力を展開している。新型コロナウイルスの感染が流行する中、両校は共同で新しい
事業・研究を援助するシードファンドをスタートし、研究者の共同研究をサポートしている。今回のオンライン共同シンポジウムには、
両校の教師と学生、卒業生および20近い国と地域の大学の代表ら計1000人が参加した。
 

地域 西欧、アジア・オセアニア
イギリス、中国
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
その他 その他