【ニュース・中国】コロナと米留学生ビザ規制のダブルパンチ 今年の留学市場で何があったか (8)

 
展望:ピンチはチャンスと共にあり、新たな動きが生まれている
 
 コロナ禍で留学の風向きが根本的に変わるかについてはさまざまな見方がある。感染症の流行は確かに大きな打撃をもたらしたが、根本的な
影響はないと考える専門家もいる。「中国青年報」の報道によると、東西方国際教育グループの社長であり、威久留学の創設者である王偉総裁は、
「コロナ収束後も留学に根本的な影響はない。というのも、根本的なニーズに変化がないからだ」と考えている。

 
 姜CEOも、全体の留学生数は引き続き増加するに違いないと考えている。その理由は「国内では質の高い教育の需給のバランスが取れていない
ため、中国の留学生は年間100万人に達するのは疑いがないと予測している」からだ。

 
 しかし、教育ポータルサイト「中国教育オンライン」の陳志文編集長は「留学はすでにピークに達しており、間もなく明らかな転換点を迎える」
との評論で次のように指摘している。「欧米は今回の感染症対策で制度の弱点を見せた。そのため、感染症の衝撃に直面して、多くの父兄は
欧米諸国の安全を深く憂慮し、心配して外国留学の断念を真剣に考えるようになっている。小学校から高校までの低年齢留学生の父兄はすでに
多くが今回の騒動により外国行きを断念している。
 
 
 また、李さんはさらに次のように指摘している。留学生の就職も一部の学生や父兄が必ず直面する問題であり、「留学に数百万費やしたが、
学費分を稼いで取り戻すこともできない」と愚痴をこぼす父兄もいる。留学は社会的に以前ほど高く評価されなくなっており、その状況は以前から
現れてはいたが、今年の就職情勢においてはより顕著になる可能性が高い。

 
 留学のコストパフォーマンスについて、姜CEOは次のように提言する。多くの国や地域の公立大学はコストパフォーマンスが常に高く、
「カナダ・シンガポール・韓国・日本・香港などの他、一部ヨーロッパ諸国を検討することもできる。留学生家庭はやはり世界にならい、
国際競争力のある優れた人材を育てなければならない」

 
 留学市場の対象である留学生および留学生の家庭に立ち返ると、李さんは「安全が第一」だが別の面から見れば「コロナ禍は、将来の
さまざまな試練に立ち向かえるよう、心を落ち着かせ、能力を蓄え、自分の総合力を高める機会を人々に与えた」と考えている。

 
 一方、今年の特殊な事態の中で、李さんは、中国と外国の協力による学校運営が「盛んになる」と考えている。現在、一部の学生が当分、
国外へ出て行かないため、中国と外国との協力により運営された学校が学生にとって一つの選択肢、少なくとも次へのプロセスになるという。
しかし、中国と外国との協力による学校運営は玉石混交であり、慎重に選ぶ必要があるとも注意を促している。

 
 雑誌『フォーブス』の報道によると、50か国・500以上の大学を代表するイギリス連邦大学協会(ACU)のジョアンナ・ニューマン最高責任者
兼事務局長は次のように指摘している。コロナ禍は国境を越えた国際的な教育協力を改めて考える機会をもたらした。これは、国際教育が今後さらに
さまざまな事柄を包括していくことであり、最終的には「先進国と開発途上国の間で教育機関の協力が進み、コンテンツや資源の共有が進む」
ことを意味している。
 

地域 アジア・オセアニア
中国
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