【ニュース・フランス】高等研究実習院の記念式典でのFrédérique Vidal大臣のスピーチ

 
本日、この特別な式典で挨拶できることを光栄に思う。高等研究実習院(Ecole pratique des hautes études)が1世紀半にわたって、卓越性を基盤として、未来と科学技術と社会が求める厳しい課題に自信をもってコミットしてきたことはすばらしいことである。
 
この他に類を見ない学校は、批判と比較から生まれた。Ernest Renanは研究者よりも雄弁家を輩出するフランスの高等教育を批判し、Victor Duruyは外国の大学、特にドイツの大学を研究し、この判断をさらに深めた。これは改革と開放の精神が、この学校の中心に、その創設時から刻み込まれていることを示している。
 
高等研究実習院は創設以来150年にわたり、独創性を育むことを止めたことはない。今日では、先進的な研究によって裏打ちされたこの前衛的な姿勢は、21世紀の諸問題を明らかにするために必要とされている。
 
高等研究実習院の歴史は先駆けをなすもので、垣根の外の制度の歴史でもあり、バリアの外にある機関であったからこそ、今日、卓越した野望をもつ人文社会科学の理想的な「都市」を形成している。高等研究実習院は未来に向けて来年、Campus Condorcetに合流する。
 
Victor Duruyが1868年、高等研究実習院を創設したとき、それは数学、物理-化学、自然史・生理学、歴史哲学という4つの部門からなる「知の星座」であった。宗教科学の部門が1886年に設立された。さらに、あえて言えば、第6部門の経済社会科学が1947年に設けられて完全なものとなった。そしてこの第6部門はその後、社会科学高等研究院(Ecole des hautes études en sciences sociales:EHESS)として独立した。一方、最初の2部門(数学、物理-化学)は約30年前に、大学、CNRSへと移管された。
 
この学校の構造は特異である。パリ地区にある大学施設である、パリ高等師範学校(ENS)、Collège de France、パリ自然史博物館(Muséum d’histoire naturelle)に活動拠点が分散している。この物理的制約の中で高等研究実習院はそれを変身させてきた。断片化をフランスの、そして国外の、どこにでも拡がる能力としたのである。フランス全土、そして遠くはポリネシアにある太平洋珊瑚礁研究所(Institut des récifs corailliens du Pacifique)も有する高等研究実習院はフランスの研究機関、そして主要な国際機関とのパートナーシップを確立している。現在、世界各地からの研究者を受入れ、その約半数は外国人である。
 
これら一連の動きと並行して、高等研究実習院は、その特異性をもたらしながら、PSL(Université Paris-Sciences & Lettres)への完全な同化を図っている。あるいはPSL学長のAlain Fuchsが「PSLはこの偉大な学校の伝統を継承している」と言っているように、それ以上の貢献であろう。
 
知識は21世紀の主要な課題であり、他人、世界、そして惑星をも尊重して構築するには、より多くの知識を必要とする。
 
2018年1月17日
 
Cérémonie des voeux de l’Ecole pratique des hautes études : intervention de Frédérique Vidal
 

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