【ニュース・ドイツ】フィリップ・シュバルツ招へい事業:迫害を受けている研究者をサポートするプログラムが新たな局面を迎える

 
フンボルト財団(Alexander von Humboldt-Stiftung:AvH)は連邦外務省の助成を受け、2018年2月19日に、フィリップ・シュバルツ招へい事業(Philipp Schwartz-Initiative)の第4回目となる公募を開始した。このプログラムは、自国で戦争や迫害にあい、ドイツへの避難を希望する研究者や学者をサポートするものである。このプログラムにより、ドイツの大学や学術機関は、迫害を受けている外国人研究者たちを2年間受け入れ、研究者は自分たちの研究を続けることが可能となる。
 
このプログラムに対する最新の公募は、すでに始まっている。迫害を受けている研究者を受け入れようとする大学や研究機関は、2018年5月18日までに申請書を提出することとなる。
 
また、フィリップ・シュバルツ招へい事業により研究者を受け入れている大学が、最長で1年の支援期間の延長を申請することも新たに可能となった。この期間延長は、AvHが最初の半年を助成し、残りの半年を大学が助成する共同支援が必要条件となっている。
 
「フィリップ・シュバルツ招へい事業は、芸術、学術、言論の自由を積極的にサポートする文化交流政策を支援している。」と連邦外務省の文化・コミュニケーション部門長のゲルゲン氏(Andreas Görgen)は述べる。さらに、「連邦議会議員のサポートを受け、連邦外務省は、将来的に、仲介組織と協力し、迫害を受けている芸術家のドイツへの受け入れも検討している。」と述べる。
 
「フィリップ・シュバルツ招へい事業を今まで続け、大きくできたことをとても光栄に思うと同時に、連邦外務省の政治的、経済的なサポートに深く感謝する。」とAvHのパーペ会長(Hans-Christian Pape)は述べる。「我々のところに来る研究者は、戦争が起き、命の危険がある国からだけではなく、言論の自由が脅かされている国からも来ている。そのような国にいる研究者や学者にとって、独立して研究し、自由に自分たちの意見を述べることは極めて危険な行為となる。ドイツがそのような人々を受け入れることは、重要であり、国際的にも明確な意思表明である。」と付け加えた。
 
今のところ、120名以上の研究者たちがフィリップ・シュバルツ招へい事業に採択されており、彼らのほとんどは、トルコかシリア出身である。
 
AvHは、フィリップ・シュバルツ招へい事業に「危機にある研究者のためのネットワーク」(Scholars at Risk network)や、「国際教育研究所の研究者支援基金」(Scholar Rescue Fund of the Institute of International Education)、「危機にある学術評議会」(Council for At-Risk Academics)等の豊富な実績を有するパートナー機関と協力している。
 
フィリップ・シュバルツ招へい事業の名は、1933年にナチスドイツからの避難を余儀なくされたユダヤ人の病理学者であるフィリップ・シュバルツ氏に由来している。彼はその後、「在外ドイツ人研究者の緊急組合」(Notgemeinschaft deutscher Wissenschaftler im Ausland)を立ち上げた。フィリップ・シュバルツ招へい事業は、2015年にAvHと連邦外務省により創設され、ドイツや外国の団体からも助成を受けている。
 
2018年2月19日
 
AvH:Philipp Schwartz-Initiative: Förderprogramm für verfolgte Forscher geht in neue Runde
 

地域 中東欧・ロシア
ドイツ
取組レベル 国際機関レベルの取組
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国際交流 国際化
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研究支援 研究者向けフェローシップ