【ニュース・タイ】無償教育のための予算 未執行のまま

政府の “無償教育イニシアティブ” として投入されている国家予算の400億バーツのうちの20%に相当する金額が、学校で未使用のまま残っていると研究で明らかになった。
2017年7月19日、タマサート大学(Thammasat University)のChaiyuth Punyasavatsut准教授は「それは恐らく学校が予算を効率良く管理するための適切な能力に欠けており、省庁からの役人たちが学校をチェックするのもたった年に1度だけだからだ。」と述べた。
同大学は、タイ教育省基礎教育局(Office of Basic Education Commission:Obec)及びユニセフと連携し、政府が提供する15年間の無償教育プロジェクトの支出に関する研究に取り組み始めた。

 

この無償教育プロジェクトは、授業料、教科書、制服、学習教材、学力向上のために予算を割り当てており、620万人の学生分を負担している。
全国250校で実施されたこの調査では、国の支出に関連するいくつかの問題が明らかとなった。

 

Chaiyuth氏のコメント:
教科書のための予算は、新学期が始まってから約24日後に執行が可能となる。学校では平均して最初の学期開始からは17日後、2学期からは37日後になってようやく教科書が配布されている。2学期の終わりまでで、このプロジェクトの予算の残額82億バーツが学校に残されている。Obecは、学校から提供される情報に基づいてその予算を割り当てているが、チェックアンドバランスの機能が不十分であり、倫理的な問題が起こっている。この研究では、より透明性を高めるため学校が地域コミュニティに対して、予算と学生の実績に関する情報を公開することを推奨している。全てを網羅した教育情報データベースがないことについては、これらの予算の問題と存在しない学生名簿が使用されていることが原因である。

 

教育改革委員会に出席後のプラユット・ジャンオーチャー(Prayut Chan-o-cha)首相のコメント:
教育部門がかつて統合されたITシステムを保持していなかった時、学生数の把握に問題があった。学生はすでに新しい学校に移籍しているかもしれないが、元の学校ではいまだに彼らの名前を名簿に残し、予算要求のために使っている。
新憲法の下で設立された委員会は、国の教育部門の改革を一任され、教師の能力、教育方法、学習、テスト方法等、教育を実施する上で問題が山積している。予算の使い方には注意を払い、予算がどのように使われ、何のためのものであるのか、明確にする必要がある。また教育の予算計画を立てる際に、所在不明の学生がいるのであれば、それを確認する必要がある。
教育改革が1年以内、もしくは在任中に具体的な成果をもたらすことを期待している。優先順位は構造改革と重要な問題に向かうべきであり、改革の他の部分は、国の教育マスタープランの中に規定されるべきである。

 

2017年7月20日

 

The Nation:Free education budget not spent:study

地域 アジア・オセアニア
タイ
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 予算・財政
大学・研究機関の基本的役割 教育、研究