【ニュース・スウェーデン】YubiKey開発者KTH Great Prizeを受賞

発明家であり起業家のStina Ehrensvärd氏が、今年のKTH Great Prizeを受賞することが、スウェーデン王立工科大学(KTH)より発表された。同氏はYubiKeyの開発者として知られる。YubiKeyとは小型のUSB・NFCセキュリティデバイスで、高性能であることから「ハッカーの悪夢」とも言われている。アメリカ国防省、Google、Facebookなどの世界的な組織も彼女の会社Yubicoの顧客であり、YubiKeyユーザーは数百万人にのぼる。
KTHは、授賞理由として「データ流出が増えている今、Stina Ehrensvärd氏はより安全なデジタル空間を創るというビジョンを持って会社を成長させてきた。真の起業家としての情熱と専門性を持ち、彼女はインターネットの安全のための画期的な暗号解決策により、短期間で大きな成功を収めた。」ことを挙げている。受賞者には、120万スウェーデンクローナ(約1,500万円)の賞金が贈られる。
Peter Gudmundson KTH学長は、「Stina Ehrensvärd氏は、KTH Great Prizeの受賞者として大変ふさわしい。イノベーションと起業家精神を組合せることが、彼女にとっても本学にとっても社会的課題に向き合うための鍵である。ITの安全性はデジタル化した世界にとって不可欠であり、彼女の取組みが重要である理由もそこにある。」と述べる。
Stina Ehrensvärd氏は受賞を驚きとともに喜びつつも、Yubicoの成功は自分ひとりで成し得たものではないことを強調し、今までずっと一緒に会社を発展させてきた夫のJacob Ehrensvärd氏と、受賞の喜びを分かち合いたいと述べている。
また、Stina氏は、若手のイノベーターへのアドバイスとして、以下の通り述べている。「インスピレーションとハードワークが成功の秘訣です。現実の問題に対する解決方法を見つけましょう。その解決策や、製品、サービスのために数年を費やそうという考えでじっとしていられなくなり、それを嬉しく感じるのであれば、あなたは正しい道にいるでしょう。あなたに足りないものを補ってくれる良いチームと共にいましょう。そして、大きなことを考えて、自分の直感に耳を傾けましょう。」

 

<KTH Great Prizeとは>
1944年に寄付金により創設された。本賞は、画期的発見や新たな価値の創出を通じ、実生活上で得られた発見の独創的な応用により、スウェーデンのものづくりに貢献した者、科学研究で、特に重要な原理や応用に有益な法則を見つけ、上記の目的を促進した者、もしくは芸術活動により人々の精神生活に大きな影響を与えた者に贈られる。なお、受賞者はスウェーデン国民に限られる。

 
                                    
【出典】
スウェーデン王立工科大学(KTH)ウェブサイト
KTH:IT entrepreneur awarded KTH Great Prize

地域 北欧・バルト三国
スウェーデン
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
顕彰 顕彰