【ニュース・イギリス】学生局の最高責任者が優先課題についての声明を公表

 
2018年4月3日、学生局(OfS:Office for Students)の最高責任者であるNicola Dandridge氏が、OfSの優先課題についての声明を発表した。(注:なお、この日は3月末で解体したイングランド高等教育財政会議(HEFCE:Higher Education Funding Council for England)と公正機会局(OFFA:Office for Fair Access)がすでに準備活動を行なっていたOfSと統合された、完成したOfSとしての活動初日であった。)
 
声明で掲げられた4つの課題:

  1. 不平等の是正に取り組む
    今日からの我々の戦略的優先課題として、その一つ目は、出身環境が原因で負けてゆく学生たちの問題である。恵まれない環境出身の若者はこれまでになかったほど高等教育に進学するようになってはいるが、まだまだなすべきことがある。人生において、どこで生まれたかということは、いまだもって、最終的にどこへ行くのかに影響する大きな要因である。いまだに、異なる学生集団の間で卒業後の成果や雇用において厳しい開きが出ている。我々は、これらのギャップに対応するために最もよく作用するものに投資を行なうべく、雇用者や第三者とともに、大学やカレッジと協力していく。
  2. 教育と前向きな経験
    次に、我々は、高等教育における学生の経験が前向きなものであり、学生が質の高い教育、学習そして支援を受けることが出来ることを確実にしたい。
    このことの基礎となるのは、何をどこで学ぶかについて情報を得た上で判断することについて必要な、情報、助言そして手引きを学生が得ることである。もし彼らが誤った選択をしたら、最高水準の教育内容をもってしても、その誤った判断を埋め合わせることは非常に困難である。
    我々は、学校や雇用者やキャリアアドバイザーと協力し、大学やカレッジへの志願者に、彼らの需要や向上心に適合するような、膨大な多様性を持つ課程についての、しっかりした、そして信頼できる情報を保証するために、可能なことは全て、より一層行なわなければならない。
  3. 学生の成果の改善
    第三に、我々の役割は、大学やカレッジが学生の成果を改善することを確実なものとすることである。
    現在の世代の学生は、公平な尺度の中で刺激的で挑戦的な、まれに見る時代に卒業している。現在学生である人たちは、いまだかつて想像もされなかったような仕事をすることになるだろう。卒業時だけでなく、完全に見通しのつかない不確定な将来へと何年にもわたり、大学やカレッジが卒業生に前向きな成果を確保するために可能なことは何でも行なうということを確実なものとする必要がある。
  4. 学費に値するだけの価値
    最後に、我々には、学生が学費に値するだけの価値を得ることを確かなものとする義務がある。我々が今年の早い時期に委託した、学生組合のコンソーシアムの調査では、自分の課程が学費に値するだけの良い価値をもたらしていると考えていたのは、学生の中でたった3分の1でしかなかった。またその回答も様々であり、沢山の異なる意見があった。
    しかし、調査の対象となった学生達は全体として、学費の価値を示す3つの最も重要な要素が、教育の質、良好な評価及びフィードバック、並びに学習資源であるということを我々に教えている。私は特にこれらの発見に打ちのめされた。
    明らかに、卒業生の成果と給与は学生にとって重要であり、高等教育に進むことを選択する時に気にすることの中でも、かなり高い順位で計算に入れられるものである。しかし、この学生集団にとっては、重要となるのは支えてくれる環境の中での教育、学習とフィードバックであった。
    これは、狭い範囲で取りざたされている高等教育への意見ではない。それ以上に遥かに包括的で、十分な規模を持ち、インスピレーションを与えるような何かである。

 
声明は、上記の課題に加えて、“学生の声に耳を傾ける”ということについて以下のように述べ、締めくくられている:
 
学生はOfSが物事を正しく理解することを確実にする上で基礎的な役割を果たす。我々の理事会には学生の代表がおり、13人の学生から成る学生委員会(注:理事会に対して助言を行なう機関)も設けている。この委員会が我々の活動に批判的な助言を行なってくれ、我々がイングランドの200万人近い学生のことを計算に入れた、学生の学習意欲のための幅広い計画を立てることを助けてくれる。
 
我々は我々の責任について真剣である。我々は、高等教育機関が学生に対する責任を果たしていないと考えた時に行使しうる、そして行使するであろう、広範な権限を有している。我々はもちろん、大学やカレッジと建設的に、そして敬意を表して協力したいと考えている。
 
しかし、我々が学生とその利益を守るために、できることは全て行ない、用いることのできる権限は全て用いるということは、何人にとっても疑いようがないだろう。
 
OfS:What are the Office for Students’ priorities?
 

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