【ニュース・イギリス】デジタル貧困が学生を置き去りにする恐れ

 
2020年9月3日、学生局(OfS)は、新たな調査データを公表し、自宅から高等教育に参加する学生の就学は、コアとなるデジタルインフラへのアクセス環境の不足により中断させられていることを示した。

 
コロナ禍のロックダウンの最中、52%の学生が、学習が低速な、もしくは不安定なインターネット接続による影響を受け、8%が「深刻な」影響を受けたと回答した。1,416人の学生を対象とした調査によると、

  • 71%の学生が静かな学習スペースがないと回答し、22%が「深刻な」影響を受けたと述べた。
  • 56%の学生が、適切なオンラインコースの資料を利用できないと回答し、9%が「深刻な」影響を受けたと述べた。
  • 18%の学生が、ラップトップもしくはタブレットなどのコンピュータが利用できないことによる影響を受けたと回答し、4%が「深刻な」影響を受けたと述べた。

当該調査結果は、OfSの議長のMichael Barber卿が、今日におけるイングランド高等教育のデジタル教育と学習の主要なレビューを開始する際に発出された。デジタル貧困と学生の学術的経験との関係を調査することは当該レビュー項目の一つである。

 
当該レビューはまた、コロナ禍の開始以降、遠隔教育を配信するためにどのようにデジタルテクノロジーが使われるか、将来、規模を拡大してどのようにハイクオリティのデジタル教育と学習が配信される可能性があるか、及び中長期的にデジタル教育を大学に提供する機会についても検討する。当該レビューでは、特にロックダウン下における英国及び海外からのオンライン教育の成功例を活用する。

 
OfS は、学生組合と同様に教員や職員など、デジタル教育や学習の配信やデザインに関与する人々からのエビデンスを求める募集を発表した。当該募集で提供される情報はデジタル教育と学習のレビューの推奨事項を知らせ、ケーススタディを明らかにする手助けとなる。

 
本日の学生を対象とした調査は、コロナ禍において、どのように首尾良く彼らの課程の内容が届けられたのかについての一般的な認識に関する質問も学生に行っている。それによると、コロナ禍における教育の質について、34%の学生が満足していないと答えたのに対し、51%の学生が満足していると答えている。ライブのオンライン講義を受けたと報告した学生は、録画された講義もしくは書かれたスライドで教えられた学生より、彼らの教育をより前向きに評価する傾向があった。その他の調査項目の結果は以下の通りである。

  • 19%の学生が、必要な時にスタッフとコミュニケーションがとることができなかったと回答した一方で、68%の学生ができたと回答した。
  • 26%の学生が、大学の評価への取組が明確に行われていないと回答した一方で、61%の学生が明確に行われたと回答した。
  • 28%の学生が、彼らの課程に関する変更が効果的に伝達されなかったと回答した一方で、60%の学生が効果的に伝達されたと回答した。
  • 43%の学生が課程全体での学習経験に満足してないと回答した一方で、46%が満足していると回答した。

4月に、OfS は、コロナ禍における質及び基準の維持に関するガイダンスを発表した。当該ガイダンスでは、大学及びカレッジは、通常時の取り決めと概ね同等な教育と支援を学生へ提供するためにあらゆる合理的な努力を行うとともに、既存の課程を配信するために、オンライン教育をどのように利用することが可能か検討すべきであると述べられている。大学はまた、学生の到達度を確実かつ柔軟に評価し、学生と明確な意思疎通を行うべきであるとも述べた。


学生局(OfS): ‘Digital poverty’ risks leaving students behind


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