【ニュース・イギリス】英国のEU離脱に係るEUとの研究関係の取り決めの概要(1)

 
2020年12月30日、Science Business は、英国がEU離脱において EU との間で合意した研究関係の取り決めの概要について報道した。

 
1,246ページに及ぶその合意によると、英国は、現行のプログラムであるHorizon 2020に続く、7年間で955億ユーロの Horizon Europe という
大規模な研究スキームを含む5つの EU のプログラムに資金を拠出し、参加し続けることができることになっている。

 
英国は EU での研究競争において優れた実績を持っている。2007年から2013年に英国から18,000人以上の研究者が10,000件以上のプロジェクトに
参加した。合計で、英国はその期間を通じて総配分額の15%となるおよそ70億ユーロを確保した。

 
両方のケースにおいて、ドイツに続き2番目に多い参加者と EU 資金のシェアとなっている。2019年6月の実績値によると、英国は、ドイツに続き
再び2番目となる全体の13.5%のおよそ59億ユーロを確保している。

 
英国の EU 離脱(Brexit)は英国の成功にブレーキをかけた。英国王立協会によると、英国の EU の研究資金の年間シェアは2015年以降3分の1
近く減少している。

 
クリスマスイブに合意された取り決めが、EU との研究競争への英国の参加資格についての不確実性を終わらせているが、英国へのアクセスに関する
ルールも変更になり、英国がEU圏内のメンバーであった時より生活がより複雑化している。その合意は、公式にそのプログラムに提携するために、
英国に EU とのさらなる交渉を行うよう委ねている。

 
これは、英国がいくらかの財政的負担により貢献し、英国の研究者が EU の研究者と一緒に Horizon の資金に申請することを意味している。
ブレグジットによって誘発された政策の行き詰まりがなくなったことで、委員会当局はカナダや日本のような遠い EU 圏外の国と提携交渉を開始
することもできる。

 
新たな関係の主なものの詳細は以下のとおりである。

 
財政的負担

 
英国が EU のプログラムに支払う額(運営への貢献負担額)は、EU の GDP のシェアとしてその国の GDP に基づいて計算されることになる。さらに、
その国の運営への貢献負担総額の4%分の参加費が徴収されることになる。

 
運営への貢献負担額は、英国がEUの資金にどのくらい拠出し、英国がそこからどのくらい獲得したかにより遡って上方もしくは下方に調整される。

 
Horizon Europe を除いて、英国は4つの他のEUのプログラム、すなわち、欧州原子力共同体の原子力研究プログラム、世界で最初の核融合システム
の機能を構築するITER プロジェクト、地球を観測する Copernicus プロジェクトそして欧州宇宙監視追跡システムにおいて役割を持ち続けること
になる。防衛に関する協力が除外されれば、英国は暗号化された Galileo の軍事的なデータにアクセスすることができなくなる。

 
その合意では、Horizon Europe に関する英国の財政的負担の計算方法は、他のEU プログラムで使われている方法とは異なることになると述べている。「Horizon Europe に関する基本的なルールに適用除外がある。

 
そのため、私は英国の貢献がどうなるのか、これが過去の実績より多くなるのか少なくなるのか推測することはできない。」とベルギーにあるロビー
団体の League of European Research Universities (LERU) の Kurt Deketelaere 事務局長は述べた。

 
明確なことは英国の研究者がもし2027年まで続く Horizon Europe の一部から締め出されても、英国は資金を取り戻せるということである。その合意に
添付された政治的な宣言は、英国が European Innovation Council の加速資金からの助成をめぐり競争することは禁じられていると述べており、
英国の年間の研究プログラムへの財政的負担は状況に応じて適切に調整されることを意味している。

 
過去において、EU 圏外のスイスやイスラエルが EU の研究スキームに準会員として参加していたとき、このメンバーシップはプログラム全体の負担
をしていた。

 
次へ、つづく
 


地域 西欧、EU
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