【ニュース・イギリス】レベリング・アップ白書:継続教育、スキル、研究開発政府の推し進める中心事項

 
2022年2月2日、University Business は同日政府によって発表されたレベリング・アップ(英国全土の地域活性化)白書において、研究開発投資の増加、イングランド南東部以外での継続教育の底上げを狙うことを伝えた。その計画の中には新しく「Innovation Accelerators」、「Future Skills Unit」や「Local Skills Improvement」が含まれている。Institutes of Technology(IoTs)は通常大学や研究機関が受けている特許状への申請が可能となる。起草法案は英国の「レベル・アップ」のため12の使命を掲げている。

 
研究と開発

 
政府は2024/2025年度までにイングランド南東部とロンドン以外の地区で、研究開発(R&D)への国内公共投資を33%増加すること目指している。さらに2030年までに全国の研究開発投資を現在の水準より40%高くさせることを計画している。この計画では、この公共投資により民間部門の投資額の2倍を引き出すべきである、と述べている。

 
白書では54%の研究開発費がロンドン、イングランド南東部、イングランド東部に投資されているということを前提の課題として述べている。一方で、南東部広域圏への投資は、2017年以降、毎年研究開発総額のシェアを約1%ずつ増加しているが、イングランドのその他の地区では、同様の成長率に達成するまでに2019年まで8年間を費やしている。

 
白書では3つの Innovation Accelerators を稼働すると宣言している。マンチェスター広域圏や西ミッドランド地区、グラスゴーなど新しくイノベーションや先端技術が集中する地区は、1億ポンドの「新しい資金」を受けて、新しいビジネスや研究者をロンドン以外の場所から誘致する。全国的に4Gの利用を網羅し、ギガバイト許容のブロードバンド、5Gのサービスを2030年までにほぼ全員に提供することを目指す。

 
スキル

 
2030年までに、政府は全国的に質の高い資格訓練で有用な資格を取得した者が増えることを期待している。白書の中の教育省(DfE)によってまとめられた数字に基づくと、2011/2012年度以降、資金を受けている継続教育コースや技能実習制度の成人学生の人数は2012年に200万人とピークに達したが、その後減少し、2020年までに半減していることが示されている。

 
新しい目標は Covid-19 以前(2018/2019年度)の19歳以降の継続教育とスキルトレーニングの数値を利用している。これらのコースを修了した者は1,467,600人であったが、2020/2021年度では1,040,800人に減少した。

 
新しい目標ではイングランドで2030年までに毎年20万人以上がコースを修了できるようにし、スキル修了者が少ない地域でも、最低8万人を目指すとしている。白書では、この目標には高等教育は含まないとしている。 The Local Skills Improvement Plans はイングランド全域を対象とし、雇用者団体と関係者にスキルトレーニングの立案に対して法的な役割を与えるものである。

 
A future Skills Unit はイングランドの様々な地域で必要とされる教育やトレーニングの種類を特定するものである。特許状取得の可能性は IoTs に、地域の中心的な機関として長期的にその仕事を確保し、世界のトップを行く歴史ある英国の大学と同等の位置づけとなるための機会を提供する。

 
また政府は、町の中心部、地域文化、コミュニティの満足度が改善することを望んでいる。それにより、その地域に高スキルの卒業生をひきつけて留めることに役立つ。政府は26億ポンドの UK Shared Prosperity Fund を「可能な限り地方に分散」させ、スキルや地元ビジネスに投資し、地元にあった最高のものを作り出すことを約束している。

 
レベリング・アップ、住宅・コミュニティ省(LUHC)の大臣である Michael Cove 氏のコメント:

 
何十年の間、あまりにも多くの地域が見過ごされ、またその評価も低く見られてきた。ある地区が繁栄をしている一方で、他の地区は衰退の一途をたどっていった。英国はまるで一つのエンジン操縦されているジェット機のようなものである。

 
レベリング・アップとこの白書はこの歴史的な不平等と、医療や教育など地域による格差がある状況をなくすことを目的としている。決して簡単なことではなく、一夜にして成し遂げられるようなものではない。しかし新しい12の国家レベリング・アップ・ミッションは英国全土の町や都市に真の変化をもたらし、住む場所によって限界を決定づけてしまうことはなくなるだろう。

 

University Business: Levelling up: FE, skills and R&D take centre stage in government white paper

 

Gov UK: Government unveils levelling up plan that will transform UK

 
反応記事:

 
英国大学協会(UUK)のレベリング・アップ白書発表に関する反応:2022年2月2日、UUK response to Government’s Levelling Up White Paper:

 
UUK の理事長であり、University of the West of England Bristol の学長である Steve West CBE 教授のコメント:

 
大学が人や地域に与える影響がまさに変革となる可能性がある。大学は学生集団、研究パートナー、地元企業や雇用者などを1つにまとめ、英国全体に活気のある地域、雇用、機会を作るという意味では、レベリング・アップを行うためには不可欠な存在である。

 
大学は低所得世帯や恵まれない環境にいるグループから全ての年齢層の学生に対して、大学での経験から利益を得ることができるように、もっと幅広く手を伸ばしていきたい。

 
大学はまたイングランドのカレッジ、地元自治体、地元企業パートナーシップ(LEP)と提携し親密に協力し、雇用者やコミュニティの必要にあった様々なやりがいのある学習機会を作っている。

 
企業の成長を支援し、全ての学習者に対してスキルの習得を支援し、卒業生が地元に留まり、職を得て、コミュニティに貢献するためにも政府が大学に対して正しい条件を整えてもらうことは重要である。

 
英国大学協会(UUK)UUK response to Government’s Levelling Up White Paper

 
国立大学産業センター(NCUB)の反応:2022年2月2日、UK Universities and business welcome importance of research and innovation in the Levelling Up

 
White Paper

 
特に白書で発表された、世界的な競争力となる研究イノベーションの研究機関設立を目的とする新しい3つの Innovation Accelerators に関して述べている。

 
同センターの最高責任者であるJoe Marshall 博士のコメント:

 
レベリング・アップ白書で、研究とイノベーションが英国の長期にわたる経済、社会、環境保全の中心であることを認識されたことは大変前向きなことである。これにより、大学および企業が英国全土で共に協力し、世界水準のイノベーションを作り、更には地元のコミュニティや地域の経済にも貢献することができる。政府が研究やイノベーションが我々の未来の成長において中心であり、重要な役割であることを認識したことを称賛する。

 
レベリング・アップ白書の中で我々の研究基盤が、英国全体で真の変革を推進するための重要な基礎的な要素であること認識した。NCUB は長きにわたり政府に対して、国の活性化に役立つため「Innovation Collaboration Zones」というネットワークの構築を求めてきた。そのため特に発表の中にあった Innovation Accelerators は特に歓迎するものである。特に期待される影響、利益だけでなく、どこに Innovation Accelerators を建設するかなど、詳細が重要であろう。はっきりしていることは、大学や企業が行っている研究やイノベーションは経済的に強い部分を構築していくためには重要なことで、成長や機会を多くもたらすための中心的なものである。

 


National Centre for Universities & Business:
UK universities and businesses welcome importance of research and innovation in the Levelling Up White Paper


地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 予算・財政、政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育、研究