【ニュース・イギリス】英国からの資金不足によりEUの衛星プログラム「コペルニクス」の計画に遅延の可能性

 
2022年2月3日 Research Professional News は EU の衛星プログラム「コペルニクス」の計画の遅延の可能性を伝えた。

 
EU はもし7億ユーロ以上の予算不足の原因となっている、英国との政治的な問題が解決されなければ、衛星プログラム「コペルニクス」の拡張計画を延期する予定である。

 
コペルニクス衛生は地上の陸と海のデータを産業界、研究者、政策立案者に提供し、気候変動の追跡から地震の対応に至るまで、様々な方面で利用されている。センチネル衛星はこのプログラムのために数十億ユーロをかけて特別に開発されたものである。

 
現在の資金提供の問題により、欧州委員会の関係者は、もし英国からの資金が期日までに間に合わなのであれば、「センチネルに関する拡大ミッションのいくつかの活動を停止」することを Research Professional News は確認した。

 
その活動は2021-2027年の予算期間に行われるはずであったが、次回の新しい EU 研究プログラム期間である2028-2034年に延期か、英国の参加の問題が解決するまで延期されることになった。

 
2020年12月に、英国はコペルニクスを含むいくつかの EU プログラムに参加のための費用を支払うことに合意した。しかし貿易に関する見解の不一致により、これまで EU はこの合意を実施することを拒否しており、そのため英国からの拠出金の提供は実現されていない。また「ホライズン・ヨーロッパ」プログラムからの研究開発資金についても、英国の研究者には提供されていない。

 
2021年の半ば、欧州委員会はコペルニクスのための英国からの7億5,000万ユーロの資金提供は、予定通りには実施されないことを発表している。また欧州委員会は追加資金として2,900万ユーロを提供し、これで英国不在によりコペルニクスの予算に7億2100万ユーロの不足が出ることになった。そのため衛生システムのいくつかの計画の内容に対して延期する動きが出ている。

 
センチネルは行き詰ったか?

 
コペルニクスのセンチネル衛星は 欧州宇宙機関(Esa) によって開発されており、研究者に広く利用されているこのプログラムからのデータを提供する責任がある。

 
コペルニクスに対して責任を負っている欧州委員会の関係者は Research Professional News に対して、英国からの資金提供不足の解消のため、1月20日に Esa と合意に達し、その結果として「いくつかの活動が停止」となったことを述べた。

 
また、彼らは今後何十年間もコペルニクスが最高の地球観測システムであり続けるためにも、あらゆる手を尽くすことを強調した。

 
コペルニクスの Esa の広報担当者である Simon Jutz 氏は「コペルニクスプログラムの完全性を保護するため」に必要な活動停止であったと述べている。

 
1月20日の会議で Esa の加盟国は資金不足の対処案を支持し、2月の ESA の運営評議会と欧州委員会によって正式な承認が提出される予定である。

 
Jutz 氏は、資金不足分は最終的にコペルニクスが、「意欲的なタスクを完全に実施するため」必要となると語った。

 
コペルニクスは2021年から2027年にかけて EU 予算として54億ユーロを受け取る ことになっているが、その中には英国、ノルウェー、アイスランドからの拠出金は含まれていない。

 
欧州委員会の関係者は、これは 「コペルニクスのために投入される予算の中で最高額」 であると述べている。コペルニクス衛星は2014年から設置が開始され、複数年にわたる開発、建設、打ち上げ、データ配信のための資金が投入されている。

 


Research Professional News: Missing UK money could delay plans for Copernicus satellites


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