2022年2月1日、高等教育統計局(HESA) は2020年12月1日時点の英国の高等教育機関における職員の雇用の詳細を発表した。データの分析は2022年2月に公開される。
2019/2020 学事年度より、イングランド、北アイルランドの高等教育機関は非学術スタッフの情報提出義務がなくなり、自主的になった。また情報内容の解釈については十分な注意が必要である。
高等教育機関には何人の職員がいるのか?
2020/2021学事年ではHESAに214の機関より職員に関する情報が報告された。そのうちの196機関は2019/2020学事年度から報告がなされており、18機関が新たに参加した。
2020年12月1日現在:
- 高等教育機関では学術職員は224,530人(非典型雇用を除く)が雇用されており、223,525人であった2019年12月と比べてと1%以下の増加であった。
- フルタイムでの学術職員は(非定型的雇用は含まず)は149,085人で2019年(146,780人)よりおよそ2%の増加があった。
- 非定型的な雇用契約の学術職員と非学術職員の数は2018/2019学事年度より減少している。
- 一方で学術職員の全体数(非定型的雇用は含まず)の数は毎年増加しているが、英国国籍者の人数は5年間の中で初めて減少した。
HESA はどのように高等教育の職員の統計を行ったか?
非定型的雇用職員は他の定型の職員とは比較ができないことに注意すること。(詳細は HESA の職員データ参照のこと)今回の報告書では非定型的学術職員契約の情報に関しては含まれていない。2015/2016学事年度より非定型的契約の非学術職員に関しては職員の記録には含まれていない。
2020/2021 学事年では59,120人が学術非定型契約職員として高等教育機関に雇用されていた。非定型契約は下記の2つか3つの条件を満たすものである。
- 4週間連続未満の雇用 ― 特に契約内容の提示の必要がない。
- 単発および短期の業務 ― 例えば、クリアリング時の電話対応、展示会、会議の設定など。業務発注者と従事者間で指定期間とそのプロジェクトの期間を超えたものに対して相互に義務はない。場合によって、従事者は業務時間に関係なく一定の賃金が支払われる。
- 通常の業務発注者からの監視から離れた場所での業務 ― しかし教育業者制度や遠隔学習に関わる教育や研究の監督を目的とするものは除外する。
- 必要な時に必要な業務をする特に柔軟性が求められる業務 - 例えば会議のケータリング、学生大使、学生デモ隊など。
2020/2021学事年度の変則職員でフルタイム(FTE)と同等な職員の数は5,065人であった。
基本給の収入源
- 2020/2021学事年度の学術職員の174,940人、78%の者の基本給は高等教育機関から支払われている。これは2019/2020学事年度も同様であった。
- 残りの22%の収入は別から出ている。それは高等教育機関により一部が支払われていたり、研究会議、多国籍企業の英国支店、NHS や英国内外の慈善団体などがあげられる。
学術的な雇用役割
- 2020/2021学事年度では学術職員の98,630人(44%)は教育及び研究の業務をするという契約で雇用された。2019/2022学事年度では98,085人(44%)であった。
- さらに学術職員の32%は教育のみの契約であった。2015/2016学事年度では26%であった時から毎年着実に増加している。
契約のレベル
- 2020/2021学事年度では学術職員の22,855人(10%)は教授職で契約している。 しかし実際はもっと上級職にいたり、学部長であったりする場合があるためこの数値は全教授数を下回っている可能性がある。
- 2020/2021学事年度では女性の教授は28%であった。2013/2014学事年度から2019/2020年の間に毎年1パーセントポイントずつ増加して、2020/2021学事年度では28%に留まった。
- 2020/2021学事年度ではその他の上級学術職員として雇用契約されている女性の割合は40%であった。これは2013/2014学事年度に33%だった頃より増加している。
教授とその他の上級学術職員の違い?
すべての雇用契約は契約のレベルをコード化している。教授レベル(F1)の場合「教授の肩書の使用は可能ではあるが、学部管理の責任を持たない上級学術職」である。その他の上級雇用契約(コードAからE)は指導的立場で管理責任を伴う職種であり、これらの雇用契約の中で教授の肩書を持っている場合もある。
雇用形態のレベル定義の詳細: HESA: Definitions: Staff
雇用条件
- 学術職員で32%を占める72,610人は2020/2021学事年度では期限付きの雇用契約で雇用されている。
- 常勤の学術職員のうち24%は2020/2021学事年度では期限付の雇用契約であった。また、48%のパートタイムの学術職員は期限付の雇用契約であった。
- 給与面では、学術契約で雇用されているうち36%のパートタイム職員は時給制で、フルタイムの場合は1%であった。一方で HESA に報告されている非学術職員の8%は時給制であるが、フルタイム職員の場合は1%未満であった。
- 期限付き契約職員は無期限雇用の職員と比べて、時給制の職員が多い。このことは HESA に報告されている学術職員と非学術職員の中で共通している。
- ゼロ時間雇用契約の学術職員(非定型的雇用は除く)は3,650人おり、そのうち94%は時給制であった。
ゼロ時間雇用契約とは
雇用主と労働者間の契約で、雇用者と労働者に対して最低労働時間を提示する義務を負っておらず、労働者は提示された仕事を受け入れる義務を負わないもの。
高等教育機関でだれが働いているのか?
- HESA に報告されている2020/2021学事年度では、女性はフルタイム職員の48%で、パートタイム職員では66%であった。
- 2020/2021学事年度では男性の学術職員が女性より多く(それぞれ118,695人と105,440人)フルタイムの学術職員の43%が女性であった。
職員の年齢
- 2020/2021学事年度では3%に当たる6,480人の学術職員は25歳以下であった。また、56歳以上の学術職員は19%に当たる43,110人であった。
- 授職のほぼ半分は56歳以上であった。
職員の民族性
- 2020/2021/学事年度では学術職員でその民族性がわかる者のうち、17%が黒人・少数民族系(BME)であった。これは2018/2019学事年度より毎年1%増加している。
- 民族性が分かっている教授21,135人のうち11%に当たる2,425人はBMEであった。BMEの教授のうち1,580人がアジア系であった。
BME とは?
HESA の職員記録は高等教育機関によって収集した民族情報が含まれている。BME は黒人・少数民族 の略称で、黒人・アジア人・混血(両親が異なる民族)・その他の民族の分類も含まれている。
職員の国籍
2020年12月1日現在では、国籍が分かっている学術職員のうち、17%に当たる38,230人はEU籍で(英国含まず)15%は非EU籍であった。
高等教育統計局 (HESA) : Higher Education Staff Statistics: UK, 2020/21
地域 | 西欧 |
国 | イギリス |
取組レベル | 政府レベルでの取組 |
統計、データ | 統計・データ |