【ニュース・アメリカ】TEACH助成プログラム、要件の混乱やサービス提供企業の不備により助成が連邦ローンに転換される受給者が多数

 
教育省(Department of Education)は、ニーズの高い数学・科学などの科目を低所得層家庭の子どもが多数在籍する学校で教える教員に助成を付与する「大学・高等教育のための教員教育支援(Teacher Education Assistance for College and Higher Education:TEACH)」助成プログラムを検証した報告書「TEACH助成プログラム調査(Study of the Teacher Education Assistance for College and Higher Education (TEACH) Grant Program)」を発表した。
 
この中で、2014年7月以前に助成受給要件とされる任務を開始した受給者の63%について、助成が補助金なしの連邦ローンに転換されていることが判明した。本報告書によると、助成がローンに転換された受給者のうち、32%は助成受給資格となる任務要件を理解しておらず、約20%は年次認証手続きについて知らなかった他、13%は認証手続きで問題に直面し、9%は年次認証手続きを忘れていたとされている。
 
但し、TEACH助成が連邦ローンに転換された受給者の一部は、同助成管理を教育省から委託された企業の問題によって不当に助成がローンに転換されたと主張している。その一例が、TEACH助成プログラムと公職者ローン返済免除(Public Service Loan Forgiveness:PSLF)プログラムの両方の管理サービス提供企業であるフェドローン・サービシング社(FedLoan Servicing)で、ある受給者は、年次認証手続きのための書類がフェドローン・サービシング社から届かず、連絡をしても回答がなく、自身で書類を準備して期限までに提出したにもかかわらず、同社は受領していないと主張して、助成からローンに転換されたという。
 
同社は、ペンシルバニア州高等教育支援局(Pennsylvania Higher Education Assistance Agency:PHEAA)が運営しているが、マサチューセッツ州検事総長のマウラ・ヒーリー氏(Maura Healey)は、連邦ローン利用者及び助成受給者の利益を喪失させたとして、2017年8月にPHEAAを提訴している。
 
なお、教育省によるTEACH助成プログラムの調査は、政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)が2015年に発表した報告書において、同助成受給者の多数が要件を満たしていないことや、認証要件に関する混乱などといった問題を指摘したことを受けて行われた。
 
教育省が発表した報告書は、「Study of the Teacher Education Assistance for College and Higher Education (TEACH) Grant Program」(PDF:1.49MB)からダウンロード可能。
 

2018年3月28日
 
NPR:Dept. Of Education Fail: Teachers Lose Grants, Forced To Repay Thousands In Loans
 

National Association of Student Financial Aid Administrators:Report: Confusion Over Service Requirements Causes Teachers to Lose Grants

 

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