【ニュース・アメリカ】2019年度大統領予算要求、教育省予算は2017年度レベルから36億ドル減

 
教育省(Department of Education)は2018年2月12日、2019年度大統領予算要求を発表した。以下はInside Higer Education誌の分析と各方面の反応である。
 
同予算要求は、連邦議会下院共和党議員が目指す高等教育法(Higher Education Act)改革の下での大幅な学資援助システム変更案との共通点が多く、

  1. 複数の収入に基づく学資ローン返済計画を1つに統合、
  2. 公職者ローン返済免除(Public Service Loan Forgiveness)プログラムを廃止、
  3. 補助金付き学資ローンプログラムを終了、
  4. 低所得層学生のための奨学金「ペルグラント(Pell Grant)」受給資格を学位付与がない短期プログラムにも拡大、
  5. 補助的教育機会奨学金(Supplemental Educational Opportunity Grant)を終了、
  6. 働きながら大学に通う学生のための「連邦ワークスタディ(Federal Work-Study)」プログラムを全面的に見直し、

などを含む。
 
また、2017年12月に下院教育・労働力委員会(House Committee on Education and the Workforce)で可決された高等教育法再授権法案である「PROSPER法(PROSPER Act)」で提示された変更事項内容を含んでいる。
 
PROSPER法は、共和党の意向が非常に強く表れており、学生の大学進学を困難とする可能性のある法案であることから、高等教育団体及び学生擁護グループからは批判を受けている。全般的には、2019年度大統領予算要求では、教育省予算に関し、2017年度レベルの5%に相当する36億ドルの削減を要求しているが、学資援助のための直接支出は、ほぼ同レベルで維持されている。
 
その反面、アメリコア(AmeriCorps)、米国芸術基金(National Endowment for the Arts)、及び、米国人文学基金(National Endowment for the Humanities)などといったプログラムの廃止を提案している。
 
ベッツィー・デボス(Betsy DeVos)教育長官は、大統領予算案に関し、最も脆弱な学生を保護しながら、米国家庭の教育の自由を拡大するものとの声明を発表しているが、米国大学協会(Association of American Universities)会長のメアリー・スー・コールマン氏(Mary Sue Coleman)は、同予算案は、高スキル・高学歴を持つ人材が必要とされる経済にあって、大学をより手の届きにくい、進学しにくいものとする可能性があるとして批判した。
 
さらに、元教育長官で、現在は非営利団体「エデュケーション・トラスト(Education Trust)」の会長兼CEOを務めるジョン・キング氏(John B. King Jr.)は、十分なサービスを受けていない人々に対するプログラム廃止を提案する大統領予算案は、アメリカンドリームに対する情け容赦ない攻撃とする声明を発表している。
 
なお、2019年度大統領予算案は、「AN AMERICAN BUDGET」(PDF:1.99MB)からダウンロード可能。

 

2018年2月12日
 
Department of Education:President’s Budget Expands Education Freedom, Protects Vulnerable Students

 

Inside Higher ED:Few Surprises in White House Budget

 

地域 北米
アメリカ
取組レベル 政府レベルでの取組
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