【ニュース・アメリカ】米国科学・工学界の人材、ベビーブーマーや大学退職規則の変更の影響で高齢化が継続

オハイオ州立大学(Ohio State University)経済学教授のデービッド・ブラウ氏(David Blau)とブルース・ワインバーグ氏(Bruce Weinberg)は、米国の科学工学界における人材の高齢化に関する研究論文「米国科学・工学界の人材は何故急速に高齢化しているのか(Why the US science and engineering workforce is aging rapidly)」を「米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)」において発表した。本研究では、米国科学財団(National Science Foundation:NSF)の博士号取得者調査(Survey of Doctorate Recipients)の下で収集された、76歳以下の科学者約7万3,000人の追跡データを検証したもので、約40%は学術科学者である。同報告書によると、米国で雇用されている科学者の平均年齢は、1993年には45歳であったが、2010年には49歳となっていることが明らかにされた。また、科学界における人材の高齢化は、コンピュータ・情報科学などといった比較的新しい分野においても同様に見られる他、自然・社会科学、衛生、工学分野など全般的に共通した傾向となっており、この傾向は、今後も平均年齢が2~3歳高くなるだけで、継続すると予測されている。ブラウ氏らは、ベビーブーム世代が高齢人材の中心であることや、1994年に大学教授の退職に関する規則が変更したことなどが影響していると分析している。この他、55歳以上の科学者の割合は、1993年には18%であったが、2010年には33%となっていることも明らかにされ、年齢の若い科学者にとって、初級レベルの学術労働市場のみならず、研究助成の獲得においても厳しい状態が続くと分析されている。

 

2017年3月28日

 

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