トランプ大統領は2019年2月15日、歳出法案7法案を統合した2019年度歳出法案に署名した。本法では、米航空宇宙局（National Aeronautics and Space Administration：NASA）、農務省（Department of Agriculture：USDA）、米国科学財団（National Science Foundation：NSF）などを含む主要科学関連省庁向けの予算が大幅に増加されている。
また、環境・気候研究に重点を置く環境保護庁（Environmental Protection Agency：EPA）、米国地質調査所（U.S. Geological Survey：USGS）、米国海洋大気庁（National Oceanic and Atmospheric Administration：NOAA）などといった省庁も、大統領予算案で提示されていた予算削減を免れた。さらに、農務省については、米国食品農業研究所（National Institute of Food and Agriculture：NIFA）及び経済研究サービス局（Economic Research Service：ERS）をワシントンDC外に移転するという組織再編計画を抑制する文言が含まれている。
主な科学関連予算は以下の通り。
- NSF：前年度比3億800万ドル（3.7％）増の80億7,500万ドル。このうち、研究予算が前年から1億8,600万ドル増の65億2,000万ドルで、教育プログラム予算が同800万ドル増の9億1,000万ドル。また、研究船予算として1億2,700万ドル、南極施設修繕予算として1億300万ドルを充当。
- NASA：科学プログラム予算として前年度比11％増で大統領予算案を約10億ドル上回る69億ドルを割当。また、木星の衛星「ユーロパ（Europa）」探査プログラム予算には、大統領予算案に含まれていなかった着陸船プログラム予算を含む。さらに、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡（James Webb Space Telescope：JWST）プログラム上限を80億ドルから88億ドルに引き上げ。
- 米国標準技術局（National Institute of Standards and Technology：NIST）：コア研究活動予算に7億2,400万ドル、産業アウトリーチプログラム予算に1億5,500万ドル、研究施設建設・修繕予算に1億600万ドルを充当し、研究予算は前年度比450万ドル増。
- 国勢調査局（Census Bureau）：大統領予算案通り、前年度比10億ドル増の35億ドルを割当。
なお、同法案には、大統領が強く要求した米国・メキシコ国境の壁建設費57億ドルのうち14億ドルのみが含まれている。
2019年2月15日
Science：Update : U.S. science agencies see gains in final 2019 spending bills
