【ニュース・アメリカ】大統領府、米国の軍事・諜報関連技術の流出を危惧して中国人研究者の入国制限を検討中

 
大統領府は、米国の軍事・諜報関連技術が中国に流出することを危惧し、中国人研究者の入国制限を検討中である。この措置に関する詳細はまだ明らかにされていないものの、最も大きな影響を受けるのは、一時滞在ビザで米国に滞在する大学院生・ポスドク研究員・技術企業従業員などになると考えられている。
 
入国制限の対象となるのは、中国国籍保有者で、永住権保有者、祖国で迫害を受けた亡命者、及び、米国市民権取得者は対象外となる。また、中国人に対する米国入国制限措置が施行された場合、中国市場拡大を狙うアップル社(Apple)、クォルコム社(Qualcomm)、IBM社、ゼネラル・エレクトリック社(General Electric)などの技術企業は打撃を受けることになる。
 
トランプ大統領は、それ以外にも、中国製品に対して関税を課す計画である他、中国からの投資にも制限を加える予定である。但し、これらの関税・投資制限などが施行された場合、中国による報復による損害が予測され、中国国民の間で反米感情が高まる恐れもある。
 
一方、国防総省(Department of Defense)によると、米国の研究所は特にスパイ行為に対して脆弱で、2014年に発生した機密情報の海外漏洩事件のうち、約25%は学術研究機関を通したものとなっており、中国・ロシアの格好の標的になっていると警告している。
 
特に、米国大学院で学ぶ中国人留学生は、コンピュータ科学・物理学・化学などを含む科学分野専攻学生が多く、卒業後の米国内での就職がさらに困難になった場合、米国で習得したスキルを自国に持ち帰ることになる。
 
なお、米国米中関係委員会(National Committee on U.S.-China Relations)会長のスティーブン・オーリンズ氏(Stephen A. Orlins)は、中国人研究者の入国を制限することは、米国大学にとって「悲劇的」とコメントしている。
 
2018年4月30日
 
The New York Times:White House Considers Restricting Chinese Researchers Over Espionage Fears

 

地域 アジア・オセアニア、北米
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