【ニュース・アメリカ】ブルッキングス研究所、高等教育機関における入学管理アルゴリズム使用によるリスクを改善するための提案事項を提示

 
ブルッキングス研究所(ワシントンDC)人工知能・新興技術イニシアティブ)は9月14日、人工知能(AI)に関連する主要な規定・規範問題を特定し、AI 技術に関連する複雑な問題に対応するための政策改善策を提案する「AI 規定」シリーズの一環としての報告書「入学アルゴリズムは高等教育危機に寄与」を発表した。

 
全米700校以上の高等教育機関は、より多数の学生を確実に入学させるために戦略的に奨学金を割り当てるアルゴリズムを導入し、①入学候補者が入学する確率の予測、②より多数の入学候補者を入学させるための奨学金配分方法の決定、という2段階で学生獲得に取り組んでいる。

 
しかし、入学者獲得を過剰に重視するために、学生が受給する奨学金総額の削減や在籍率・卒業率の低下に繋がるなど、学生に弊害をもたらす可能性があるという。本報告書が提示する、高等教育における入学管理アルゴリズムがもたらすリスク改善に向けた主な提案事項は以下の通り。

  • 入学可能性の統計的データに基づく入学管理アルゴリズムは、入学者選考過程においては考慮に含めず、学業面での準備状況、人生における達成事項、学生の多様性などといった要因で考慮すべき。
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  • 入学者獲得を目的とした奨学金分配アルゴリズムは、必要性に基づく学資援助関連プロセスでの使用は不可。
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  • アルゴリズムを使用した入学管理に関し、大学は、目標、原則、手順、データ、及び、使用したアルゴリズムなどを総合的に文書に記録すべき。
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  • アルゴリズム構築の際に使用する過去の入学データセットに関し、注意深く評価・検討すべき。
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  • 大学は、収益最適化アルゴリズムに基づいて作成した奨学金分配戦略の下での学生の成功(在籍率・卒業率など)の分析をアルゴリズム提供企業に義務付けるべき。
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  • アルゴリズム提供企業に対し、バイアス監査を要求すべき。
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  • 入学候補者の実績に基づく奨学金分配においても人間が関与し、大学進学適性試験のスコアや高校での成績平均点(GPA)などに過剰に依存し過ぎないように留意すべき。

 
2021年9月14日


The Brookings Institution: Enrollment algorithms are contributing to the crises of higher education


地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究
人材育成 入試・学生募集