アリゾナ州立大学(Arizona State University)は、大学のオンライン講座が質の高いプログラムを従来の講座よりも低価格で提供するという大学当局の目標を達成しているか否かを投資利益率(ROI)から検証した研究報告書「デジタル学習を機能させる(Making Digital Learning Work)」を発表した。
ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(Bill and Melinda Gates Foundation)から助成を受給して行われた本研究は、オンライン講座登録者数2万人以上、オンライン講座を最低1クラス受講している学生の割合が全体の20%以上という、オンライン講座に力を入れている4年制大学3校とコミュニティカレッジ3校の合計6校の事例研究を取り上げている。
これらの大学は、オンライン講座を支援するために多数の教職員が関与しており、例えば、セントラルフロリダ大学(University of Central Florida)では90人、アリゾナ州立大学では250人が同業務に携わっているという。このような大規模な支援体制が整備されている大学では、オンライン講座の平均コストは、通常の講座と比較すると単位時間あたりで12~66ドル(3~50%)低くなることが明らかにされた。
また、プログラムの規模に関わらず、成功しているオンライン講座は、単一プログラムに重点を置くなどといった戦略的アプローチを導入しているという。一方、共通の問題点は教員による抵抗で、同報告書は、オンライン講座では教員の役割が従来の講座とは顕著に異なることから、抵抗に関しては理解できるとしながら、当該分野専門家・指導計画者・メディア支援職員などを含むオンライン講座支援チームの協力を得てフルタイム教員22人がオンライン講座を開発した、リオサラド・コミュニティカレッジ(Rio Salado Community、アリゾナ州)の成功例なども紹介し、大学当局と教員との緊密な協力を提案している。
なお、本報告書は、「MAKING DIGITAL LEARNING WORK」(PDF:1.85MB)からダウンロード可能。
2018年4月12日
EdSurge:Do Online Courses Really Save Money? A New Study Explores ROI for Colleges and Students