【ニュース・アメリカ】「サイエンス」誌、著名科学者・エンジニア66人を対象としたトランプ政権発足初年度の科学・工学分野への取り組みに関する非公式調査を実施

 
科学学術誌「サイエンス(Science)」は、トランプ政権発足初年度の科学・工学分野への取り組みに関する非公式調査を、著名な科学者及びエンジニア66人を対象として2017年11月に実施した。
 
調査対象者は、過去に米国における研究政策を構築する役割を担ってきた科学者及びエンジニアで、全体の約3分の2が学術機関に所属し、残りが企業・政府研究機関・非営利研究機関に所属している。また、支持政党は、約半数が民主党支持、10%が共和党支持、40%が無所属と回答したほか、女性は全体の約25%、科学分野におけるマイノリティグループに属する回答者は全体の10%未満となっている。
 
質問内容は、

  1. トランプ政権の上級諮問委員を務める意思があるか、
  2. トランプ政権のスタッフを務める意思があるか、
  3. 支持政党、
  4. 科学コミュニティはトランプ政権とどのように関わるべきか、

の4点で、66人中45人が全4問に回答した。
 
主な結果は以下の通り。

  • 上級諮問委員を務める意思がないと回答したのは9人のみで、27人は務める意思がある、4人は可能性があると回答。また、5人は既に諮問委員を務めていると回答。
  • スタッフを務める意思は、22人が「ない」、14人が「ある」、9人が「可能性がある」と回答。
  • 多数の科学関連の要職が未だに空席で、大統領府と科学コミュニティとの繋がりがないことに関しては、支持政党に関わらず危機感を感じている。一部の回答者は、大統領府に窓口がないことへの懸念を表明。
  • 大統領府による科学予算案作成にあたり、優先事項設定と助言提供において、科学者と大統領府が協力することが重要との意見がある一方で、一部の民主党支持者からは、過去の共和党政権下では問題のなかった科学に対する基本的公正性及びコミットメントに関し、現政権に対しては同様の信頼感が持てないとの意見。
  • 大統領の個人的・政治的理由により科学的助言が拒否もしくは歪曲させられることに対する失望や、大統領及び上級補佐官がメディアで虚偽の発言をすることに対する当惑が表明された他、誤った情報の普及及び事実を根拠としない政策は米国競争力を弱体化させると警告。また、事実を不正確に伝えた発言に対しては、逐一指摘すべきと提言。
  • トランプ大統領の人選で、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)フランシス・コリンズ(Francis Collins)長官の留任、食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)スコット・ゴトリーブ(Scott Gottlieb)長官の選出、米国公衆衛生局長官(U.S. surgeon general)にジェローム・アダムス(Jerome Adams)氏の選出などは評価。
  • 事実に基づき政治を介入させないことが重要。

 
2017年12月13日
 
Science:Would you advise Trump on science? Survey examines attitudes of U.S. researchers
 

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
その他 その他
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