【ニュース・タイ】ラチャパット大学10校で特別教員学位取得コースを設置-幸福な学校で幸せな学習者を育成する5年計画

2015年、ラチャパット(教育)大学(Rajabhat Universities)10校が新しいタイプの教員を育成するための新たな取り組みを開始した。

2019年まで継続されるこの取り組みは、特別教員養成プログラムの修了者がタイ教員協議会(Teachers Council of Thailand)によって制定された水準に到達することを目指している。

ラチャパット大学はタイ教員協議会事務局(Secretariat Office of the Teachers Council of Thailand)、タイ健康促進財団(Thai Health Promotion Foundation: ThaiHealth), 教育システム研究所(the Institute for Research on the Education System: IRES)と協力してこの5年計画のプロジェクトに取り組むことになっている。

“各参加校は、科学、初等教育、タイ語教育、コンピューター等、それぞれに異なる特別プログラムを選択した。”と、マハサラカーム大学教育学部の講師を務めているIRESのPrawit Erawan会長は述べた。

Prawit会長の所属機関は、この取り組みに参加しているラチャパット大学10校、すなわち、チェンライ、チェンマイ、ウボンラチャタニー、マハサラカーム、ルーイ、ナコーンラチャシマ、ラジャナガリンドラ、ムバンチョンブエン、プーケット、スラータニーのうちの一校である。

各大学における特別教員養成コースの定員は30人限定であり、タイ健康促進財団が支援するタイ式健康学校(Sukhaphawa schools)を基礎としている。タイ式健康学校は、幸福な学習者、幸福な学校、幸福な環境、幸福な家族、幸福なコミュニティーを育成することに焦点を置いている。

Prawit会長は次のように述べた。
“我々の取り組みと従来の方法にはいくつかの違いがある。従来のものはコンテンツベースのカリキュラムであり、教師の知識と習熟度にはほとんど焦点を当てていなかったのに対し、今回の取り組みは能力開発を目指したカリキュラムである。

言い換えれば、この新しいシラバスは、教職への熱意を兼ね備えた特定の科目と教授法の専門家を生み出すことを目指している。我々の特別教員養成プログラムの生徒は、5年間を通じて実際の学校で彼らの指導能力と実績を強化する機会を得る。”

チェンライ・ラチャパット大学のPoramin Aridech教育学部長は以下のように述べた。“この新しいプログラムが従来のものと異なるのは、能力が重視される点である。
簡単に言うと、我々は教員となるのに真にふさわしい能力と知識を持った学生の育成を目的としている。”

スラータニー・ラチャパット大学のBanjong Jaroensuk教育学部長は次のように述べた。
“実践にもっと多くの時間を使えるよう、このプログラムでは授業期間、授業時間を削減している。従来のシラバスでは、学生は通常4年間連続で勉強した後、たった1年だけ教師インターンに従事することになっていた。”
同学部は、学生を英語に慣れさせるため、来年の入試から試験の一部として英語を含めることとした。
“我々は指導能力と語学の両方で優れた学生を育成したい。”とBanjong学部長は強調した。

一方、ルーイ・ラチャパット大学のPradit Wichai教育学部長は、同学部への応募基準は最低GPA2.5であり、奨学金や就職の保証はないと述べた。

今年のタイにおける教員養成プログラムの修了者は61,000人であった。2010年以降、教育分野での新規卒業生は毎年50,000名以上おり、教育学での学位取得者が教職に就くのが難しいのではないかとの懸念をよんでいる。毎年、政府関係セクターでは10,000名強の教員のポストがある。もし教育分野の卒業生が教職に就けなければ、結局無職になるか、能力が十分活かされない仕事に就くことになり、生産性に影響を与えるだろう。教員養成課程を持つ大学はすぐにこの問題に対処する必要があり、需要と供給が一致するよう努める必要がある、というのが多数の意見である。

(2015年8月24日 The Nation紙)

地域 アジア・オセアニア
タイ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
人材育成 入試・学生募集、教員の養成・確保、高技能職業人材の育成