【ニュース・イギリス】EU離脱が英国の科学研究の地位を脅かす可能性

2017年11月15日、英国はEU離脱によって科学研究のトップの座を奪われる危機にあるとの警告が発表された。

 

行政監視をする公会計委員会(PAC:Public Accounts Select Committee)の議長を務めるMeg Hillier氏は、ロボット工学や気候変動などの分野において、EU離脱後も英国の地位を保持するための政府のリーダーシップが “まったく欠けている” と述べた。これは監査局(NAO:National Audit Office)が発表したロボット工学と先端材料研究のリーダーシップの欠点を警告した報告書に基づいてコメントしたものである。

 

15日に発表された報告書によると、2015年の研究開発に対する政府からの支出合計は£87億5千万(約1兆3,125億円*)であった。また昨年政府は2021年までに追加として£47億(約7,050億円*)を出資すると発表している。

 

2007年から2013年の間のEUから英国への助成金の純受取額は€88億(約1兆1,440億円**)であり、同期間の英国からEUへの出資額は€54億(約7,020億円**)であったため、EU離脱後、英国の研究に対しどの程度資金提供されるのかで影響があるだろうと警告している。
政府の支援は「一貫性の無い」データに基づいて行われており、どの分野が後れを取っていて、どのプログラムがEU離脱により打撃を受けるのかを正確に分析しなければ、成果の上がる投資とはならない、と報告書では警告している。気候変動、ロボット工学、先端材料学の分野で投資を集中させる必要があると述べている。

 

*£1を150円にて換算
**€1を130円にて換算

 

The Guardian:Brexit threatens UK’s reputation for scientific research, watchdog says

 

【参考】
National Audit Office:report(summery)Cross-government funding of research and development[PDF:134.51KB]

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