政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)は2017年5月24日、米国科学財団(National Science Foundation:NSF)が助成受給研究機関に対して払い戻しを行う間接経費を検証した報告書「米国科学財団~研究関節経費に関する予備観察~(National Science Foundation:Preliminary Observations on Indirect Costs for Research)」を発表した。
GAOは、本報告書において、①NSFが研究機関に支払う間接経費の現状、②研究機関に支払う間接経費率設定のための指針に対する順守の度合い、を検証した。
その結果、①に関しては、2000年度~2016年度にNSFが研究機関に支払った間接経費は、助成総額の約16~24%に相当することが明らかになり、2010年以降は全般的に上昇傾向にあることが明らかにされた。NSFは、間接経費は、年、助成受給機関の種類、助成研究分野などといった様々な理由によって異なるとしている。また、NSFは、間接経費としてかかった実費を負担するのではなく、各研究の助成額に応じた一定の割合を間接経費として支払っており、これは、助成受給機関による報告作業の負担を軽減するためとしている。
一方、②に関しては、
1) | NSF職員は、助成受給機関の追跡データベースを最新情報に更新する作業に関し、常に指針を順守している訳ではないこと |
2) | 指針には、職員が作成した文書に対するNSFスーパーバイザーの評価に関し、具体的な手順が含まれていないこと |
3) | 2014年12月26日に施行されている助成支給に関する大統領府行政管理予算局(Office of Management and Budget:OMB)による指針が、NSFの指針に導入されていないこと |
などが判明した。GAOは、本報告書ではNSFに対する具体的な提案事項を提示していないが、検証を進める中で必要に応じて提案事項を提示することになる。
Government Accountability Office:National Science Foundation:Preliminary Observations on Indirect Costs for Research(報告書PDFあり)