【ニュース・アメリカ】科学・工学博士号保有者、全体の25%が博士課程開始後にアカデミア職に対する関心を喪失

コーネル大学(Cornell University、ニューヨーク州)助教のマイケル・ローチ(Michael Roach)氏とジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)准教授のヘンリー・サワーマン(Henry Sauermann)氏は、論文「アカデミア職に対する関心の低下(The declining interest in an academic career)」をオープンアクセス科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」で発表した。

 

本論文は、米国の研究大学39校の大学院生を対象とした調査結果に基づくもので、アカデミア職を志望する自然科学・工学分野の博士号保有者が、求人状況の厳しさを理由としてアカデミア職に就けないという一部の事例はあるものの、大半の博士号保有者が異なる職種を選択するのは、キャリア目標が多様となり、アカデミア職に対する関心を喪失したためとしている。

 

具体的には、博士課程開始時には約80%の学生がアカデミア職に関心を示しているにもかかわらず、博士課程修了が近づくにつれ、その割合は55%まで低下し、25%の学生はアカデミア職に対する関心を失うことが明らかにされた。その一方で、全体の5%は博士課程開始後にアカデミア職に関心を持つようになったことが判明している。
また、本論文は、学生が選択する職業に向けた十分な準備をするためには、博士課程プログラムにおいて、更なる情報・訓練・柔軟性が必要となると提案している。ローチ氏は、大学教授の大半は、キャリア全体を学術機関で過ごしているため、学生を指導する上で他のキャリアパスに関する十分な知識を持ち合わせていないだけでなく、イノベーションや経済成長などを通して学術機関以外で社会に貢献する科学・工学博士号保有者の重要性を十分に認識していないと指摘した。

 

なお、本論文は、以下より閲覧可能。
PLOS ONE:The declining interest in an academic career

 

2017年9月29日

 

Inside Higher ED:Rejecting Academe

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