国立衛生研究所（National Institutes of Health：NIH）は、2015年11月18日、ダウン症患者に見られるアルツハイマー病のバイオマーカー特定とアルツハイマー病の進行状況追跡を目的として、新たに「NIH成人ダウン症患者に見られるアルツハイマー病バイオマーカー・イニシアティブ（NIH Biomarkers of Alzheimer’s Disease in Adults with Down Syndrome Initiative）」を立ち上げたことを明らかにした。ダウン症患者の多くは、30代でアルツハイマー病に関連する脳の変化が起こり、50代～60代で認知症を発症するが、同患者グループにおけるアルツハイマー病進行状況に関する情報はほとんどないという。本イニシアティブは、脳画像と体液及び組織のバイオマーカーを利用する研究者グループを支援するものとなる。同イニシアティブの下で研究に取り組む2組の研究チームには、NIH傘下機関である国立老化研究所（National Institute on Aging：NIA）と国立小児保健発達研究所（Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development：NICHD）から、5年間に亘り総額約3,700万ドルの助成が支給されることになる。これらの研究チームは、25歳以上のダウン症患者ボランティア500人超に対し、陽電子断層撮影（Positron emission tomography：PET）、血液検査、健康状態・認識力の評価、及び、記憶力試験などの手段を用いてアルツハイマー病に関連する脳の変化の特定・追跡を実施する。

National Institutes of Health：NIH supports new studies to find Alzheimer’s biomarkers in Down syndrome