2015年11月25日、オズボーン財務大臣が、秋期財政報告書『Autumn Statement』(毎年1回行われる予算案の修正)と今後4年間(2016~2019財政年度)の政府の歳出計画案『Spending Review』を発表した。高等教育・研究関連については以下の通り。
○科学研究資源への助成を実質ベースで維持することによって鍵となる経済成長と生産性向上を優先的に達成するとともに、Innovate UK(産業界に研究開発資金を配分する政府機関)による産業界の支援および航空・自動車テクノロジーへの額面ベースでの助成を維持する。
○国立継続教育カレッジ5校の新設を含め、核となる成人技術育成支援のための予算を額面ベースで堅持するとともに、高等教育におけるSTEM(科学・技術・工学・数学)科目全体の助成額を実質ベースで保護する。
・2016学事年度より60歳以下の修士課程学生用ローン制度(£1万まで)が創設される
・2019年から2020年までにビジネス・イノベーション・技能省全体で£24億の予算削減を達成する
具体的には、
-生活維持奨学金を学生ローンに切り替える
-現金補償の代わりに、エネルギー集中産業から再生可能エネルギー推進政策に伴うコストを免除する
-進学率向上の取組に関しては、政府の助成を削減し(具体的にはこの活動に対して確保されている予算『Student Opportunity fund』を削減予定)、大学側が責任を持って取り組むこととする
-大学側は合理化に努め£3.6億創出を目指すこと、また成人技術育成用予算を確保すること
-また、今学事年度からの学生定員廃止に伴い、2020年までに大学の授業料収入が£23億増加すると予想されており、2020年までに教育交付金を£1.2億削減する
Department for Business, Innovation and Skills’ settlement .
英国研究会議(RCs)に関するナース報告書『Nurse review』最終版 発表
【他機関の反応】
・イングランド高等教育財政会議(HEFCE)
教育助成£1.2億削減、Student Opportunity fundの削減に懸念を示すも政府と協力して目標を達成していきたいと述べる
2016学事年度より開始の60歳以下修士課程学生向け(最大)£1万学生ローン制度発表を歓迎
・英国大学協会(UUK: Universities UK)
・英国研究会議(RCUK: Research Councils UK)
【メディア報道】
・The Guardian
Student loans: Osborne criticised for ‘back door’ repayments change
学生ローン制度:返済計画変更(実質的な返済額の上昇)のオズボーン財務大臣に批判集中
・The Independent
パートタイム学生もフルタイムの学生と同じように、授業料・生活費支援として学生ローン制度を利用できるようになる一方で学生ローン返済額の値上げも
・Times Higher Education
Spending review: Osborne protects research in real terms
Spending review: Osborne delivers 17% cut to BIS budget
Spending review: student funding shake-up announced
学生ローン受給資格を緩和も、返済額見直しや参加機会拡大助成削減へ
Spending review: what it means for higher education
・BBC