【ニュース・中国】修士課程18万9,000人募集拡大の意味は?(3)

 

募集拡大の学校・専攻別配分原則:学校単位で配分、対象は限定

 
 一次試験が「中くらい」の点数だった劉達慶は、募集拡大の「恩恵を受ける」ことを期待しており、全ての受験生と同様、拡大分の募集枠が
どう配分されるか「注視している」。どの学校や専攻が募集を拡大するのか。募集拡大の割合はどこも同じなのか。

 
 その手がかりは一部高等教育機関のホームページに掲載されている情報に垣間見ることができる。南京郵電大学は「適宜増加」、広西大学は
「大幅に増加」、上海市属高等教育機関の修士課程募集計画では「全体で15%増加」だという。

 
 教育部に問い合わせたところ、学校別に募集計画を策定するとのことだ。募集拡大の重点となるのは臨床医学や人工知能などの専攻で、
しかも専門職学位課程、つまりハイレベルな応用型人材(高度プロフェッショナル)の専門職学位が主となるという。

 
 「これは言わば狙いを定めた投資だ」と東北師範大学の秦玉友教授は言う。「募集拡大の重点対象は、現在、国が医薬衛生分野や科学技術
発展分野の人材を求めていることを反映しており、今回の新型コロナウイルスとの戦いもある程度関係している」

 
 「わが国は高等教育機関の規模が大きく、専攻分野も網羅されている。しかし、私は必ずしも全ての専攻、全ての学校に均等に募集拡大枠が
割り当てられるとは思わない」

 
 今回の募集拡大において、拡大分の募集枠がそれにふさわしい高等教育機関と専攻に適切に配分されるようにするため、各地方の高等教育
機関はそれぞれに応じた募集拡大計画を立てるべきだ、と秦教授は指摘する。

 

募集を拡大する専攻分野の中で、特に注目を集めているのが専門職学位課程だ。秦教授は次のように分析する。「専門職学位の修士課程では、
実践的能力の育成が強調されており、実用性の高い教育が行われる。専門職学位の募集増加は、わが国の経済発展において応用型人材への日々
高まるニーズに対応したもので、現在のわが国における大学院生育成体制にも合致している」

 
 2009年における専門職学位課程の募集は全体のわずか15.9%に過ぎなかったが、その後2017年に初めて一般的な修士課程の募集人数を上回り、
2018年には全体の58%にまで増加した。「学位と大学院生教育の発展に関する第13次5か年計画」では、2020年までに、「わが国の専門職学位
修士課程の募集割合を60%前後に引き上げる」としている。

 
 だが、秦教授は「募集拡大の重点になっている専門職学位は、実践教育の場や学外指導教員の数と質において厳しい条件がある」と注意する。

 
 

つづき>> (4) 募集拡大で試される高等教育機関の受け入れ能力 統一的な計画と募集の準備を

 

地域 アジア・オセアニア
中国
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